クモの糸は強くて熱を良く通す
ナノテクノロジーでは自然界から学ぶことが多い。ハスの葉(12/17参照)、蝶の羽(12/11,2/8,3/5参照)などについては以前に説明した。蜘蛛の糸は非常に強くてしかも熱を通しやすいことが明らかになって来たが、これもナノテクノロジーの進歩に貢献しそうだ。
蜘蛛の糸が非常に強いことは以前から知られていた。その強さは鋼鉄に勝ると言われている。その強さの原因が特徴的なナノ構造にあることが明らかにされている。簡単に説明すると、ナノサイズのホットケーキ状のタンパク質をたくさん重ねたような構造を持っている。ホットケーキとホットケーキとの間が別のたくさんの分子で強く結ばれている。広い面積を持つホットケーキ状のたんぱく質の間が強く結ばれているから、鎖状につながった分子より強いことは理解できよう。
最近アイオワ州立大学の研究グループが、蜘蛛の糸は非常に良く熱を通すことを見つけた。このグループが用いた蜘蛛の糸の熱伝導度は銅よりも高い。この蜘蛛の糸より高い熱伝導度もつ材料は、銀とダイヤモンドであるという。これまで知られている高分子などの有機材料の熱伝導度は極めて低い。熱伝導度が高い有機材料が存在し得るということは非常に興味深い。
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さらに興味深いことは、カーボンナノチューブなどは引き伸ばすと熱伝導度が低下する。これに対して、蜘蛛の糸では引き延ばすと逆に熱伝導度が高くなることが明らかになった。
科学者・技術者の興味は、蜘蛛の糸を参考にして、強くて熱伝導度が高いしかも他の特殊な機能を備えた有機材料を作り出すことに向かっているようだ。
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