ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノテクノロジーと二酸化炭素回収・貯蔵

2012-05-07 | 報道/ニュース

応急的な安全対策しか施されていない原子力発電所(3/12,4/2参照)の再稼働が容認されないことは大変好ましいが、これに代わる燃料として石油や天然ガスが使用されると二酸化炭素放出が問題となろう。ここで注目されるのは二酸化炭素の回収/貯蔵(Carb on dioxide capture and storage, CCS)である。欧米やオーストラリアでは多数の発電所などでCCSプロジェクトが進行中である。
http://sequestration.mit.edu/tools/projects/map_projects.html

CCSプロジェクトでは排気ガス中から二酸化炭素を分離しこれを地中に保存する。二酸化炭素の分離には通常化学反応が利用されているが、ナノテクノロジーによる効率の改善を目指して研究がなされている。テキサスA&M大学のZhou教授のグループは、MOF(3/2参照)が二酸化炭素分離に有効であるとの見通しの元、広範な研究を展開している。MOFはその形を変えることによって、特定の分子を吸着させることができる。二酸化炭素のみを吸着できるMOFの開発に成功したとの報告もあり、これを用いると煙突から排出されるガスの中から相当量の二酸化炭素を取り除くことができるという。
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/05/120501162516.htm

フローレンスバークレー国立研究所の研究グループは、ゼオライトと呼ばれる材料がCCSに有効であると考え、計算機シミュレーションで最適構造を模索しているという。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24436.php

二酸化炭素と水からバイオ燃料を作り出し得る可能性もある。これまで銅がこの反応の触媒となり得ることが知られていたが、銅ナノ粒子が不安定で実用に供することが出来なかった。マサチューセッツ工科大学の研究グループは、同様の触媒作用を持ちしかも安定である金と銅の合金ナノ粒子を水中に浮遊させ、電圧を加えつつ二酸化炭素を注入するとこの反応が生じるとを明らかにした。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24876.php