ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

白金に代わる水電気分解用ナノ触媒

2012-05-11 | 報道/ニュース

一昨日は、ナノ粒子を組み合わせて作成した人工材料について説明した。ナノテクノロジーが興味を持たれる理由の一つに、新しい特性を持つ新ナノ粒子や新材料を見つけ出すことがある。すでにカーボンナノチューブ強化プラスチック(9/23参照)、磁性を持つ金や熱膨張係数の小さい材料(2/17参照)について説明した。

 種々の触媒にはレアメタルや貴金属など貴重な金属が使われていることが多い。これらに代わる新ナノ粒子を見つけ出す努力が多くなされている。アメリカのブルックヘブン研究所の研究グループは、白金に代わって、窒化ニッケル-モリブデンのナノシートが水の電気分解触媒に使用できることを見つけ出した。電気分解の際の触媒は、水素を適当な強さで吸着する必要がある。吸着が弱いと水素は溶液の中に戻ってしまう。あまり強いと回収が出来ない。ニッケルとモリブデンの組み合わせが触媒としての機能を発揮するという。窒素と化合させることによってナノシートが出来上がったようだ。

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 白金1kg50,000ドルに対して、ニッケル1kg20ドル、モリブデン1kg32ドルと約1000分の1の価格である。新しい触媒は白金とほぼ同程度の能力を持つという。水素の製作費を安くすることができたが、まだこれを燃料電池(10/16,17参照)の水素燃料として使用できるほどではない。しかしながら、このグループの研究者たちは安価で高効率の触媒開発への突破口が開けたと考えている。ブルックヘブン研究所には燃料電池について先駆的な研究を行っているグループも存在する。水素燃料利用が可能になるよう両グループが力を合わせて研究を進めていくようだ。