量子ドットとは半導体ナノ粒子のことである(9/27,28参照)。量子ドットを禁止帯の幅より大きなエネルギーをもつ光で励起すると、電子/正孔対が生成し、それらが再結合する時ほぼ禁止帯の幅の光を発する。この禁止帯の幅がナノ粒子のサイズが小さくなるほど増加することはずいぶん以前から知られていた。2005年にアメリカのVanderbilt大学の研究グループが、偶然、2nmより小さいカドミウムセレン量子ドットを励起すると白色光を発することを見つけた。この理由はよく分かっていないが、このような小さなナノ粒子では、粒子に含まれる60個程度の原子のうちかなりの原子が表面に出ているためであると考えられている。LED光源として好ましい現象であるが、当時は発光効率が低く実用には適さないとされていた。
同じ大学の研究グループは、量子ドットをカルボン酸で処理することによって、効率が以前の約10倍、40%にも上昇することを明らかにした。現在市場に出回っている白色LEDは、3種類以上の半導体LEDを混合したものであるが、電力1ワット当たりの発光量は28-90ルーメンであるという。改良された量子ドットを紫外線を出すLEDで励起すると、1ワット当たり40ルーメンの光が得られるという。研究者たちはさらに発光効率を上げる努力をしている。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=25162.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T6nRI1vkjtU.google