ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

靴底のナノテクフィルムで発電を(ビデオ付)

2012-05-21 | 報道/ニュース

固体のピエゾエレクトリック効果(12/7,3/19参照)とは、固体に圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると変形するという現象である。この効果を用いると、電気エネルギーを機械エネルギーに、また機械エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。すでにナノワイヤを用いたナノ発電機について報告したことがある(12/8参照)。

最近になってピエゾエレクトリック薄膜素子が開発されてきた。韓国とアメリカの共同研究グループは、ナノサイズのチタン酸バリウムとカーボンナノチューブ(CNT)の混合物(NC)を高分子(PDMC)で固めて作成した薄膜(p-NC)が、発電機として動作することを示した。チタン酸バリウムは以前からピエゾエレクトリック素子としてよく用いられていて比較的安価である。一辺13cmのフイルムが作成できるという。その製作過程、曲げると電圧が発生するところ(戻すと逆符号の電圧が発生する)、LEDを光らせるところをごビデオで見ることができる(http://www.youtube.com/watch?v=90rk7G3t30k&feature=player_embedded)。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=25137.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T6iFsBKwt2Q.google

カリフォルニア大学の研究グループはウィルスを用いて薄膜発電機を作成した。用いられたウィルスはM13と呼ばれるバクテリアをアタックするもので、人畜無害である。自然界に多数存在し、しかも強い繁殖力を持つ。自己アセンブリ(5/3参照)でおのずから形を平面状に整える。遺伝子的手法を用いて別のたんぱく質を付加することによって分極が生じ(正負の電荷が分離し)ピエゾエレクトリック効果が発生する。20枚程度の層を重ねて、取得できる電力を増大させることができるという。上と同様なビデオが作成されている(http://www.youtube.com/watch?v=F1PzYi8jmuo&feature=player_embedded)。ビデオの断面図(cross-sectional view)を見ると、ピエゾエレクトリック効果が発生する理由がよくわかる。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=25217.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29


実用化に向かってはさらに研究を進め性能を向上させる必要がある。まずは人体に取りつけてスマートホンなどの充電に使えるようになるであろう。靴底に取り付けるのが最も有効だろうか。

再生可能にエネルギー源(太陽光、風力、地熱 ---)に人力が加わるかもしれない。