ナノテクノロジーニュース

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DNA配列の決定が容易に:全員の配列決定が可能か

2012-05-26 | 報道/ニュース

DNAはヌクレオチドで構成される 高分子である。 ヌクレオチドはリン酸を介して高分子を形成するが、各ヌクレオチド にA,G,C,Tの4種類の塩基が結合している。この4種類の塩基の配列が遺伝情報そのものである。種々の塩基の配列決定法が開発され、その精度と測定に要する時間は年々改善され現在は精度99.999%程度に達している。しかしながら、さらに簡便な測定法が求められている。

1990年代に入ってから、ナノポァー(nanopore、12/20参照)にDNAを通すことによって、塩基を検出することが試みられている。当初はタンパク質ナノポァーが用いられていたが、2005年大阪大学の研究グループがシリコンナノポァーを用いてDNA配列決定を初めて試みた。ナノポァーを塩基が通過するトンネル電流(HP2.1参照、近日完成予定)が流れるが、その大きさが塩基の種類によって異なることを利用する。その後グラフェンや窒化シリコン(1/9参照)が用いられているが、いまだ十分な精度が得られていない。

アリゾナ州立大学の研究グループは、特殊な電極を開発し90%の精度を得たと報告している。電極には走査型トンネル顕微鏡(8/26,9/17,10/11参照)の針電極を用いるが、その先端に塩基を識別できる分子を付着させる。これによって、通過しつつあるDNAを一時停止させ、識別精度を上げることができるという。
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DNAの高速配列決定の競争は、目下ホームストレッチ段階に入りつつあるという。各人が自分のDNA配列をデータとして保有出来るようになるには、さらなるブレークスルーが必要であろう。