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ぽかぽか春庭ことばのやちまた>色彩名称、日本語系統その他

2012-03-15 07:00:00 | 日本語学
2012/03/15
ぽかぽか春庭ことばのやちまた>言語学研究について

Re:ご訪問に感謝!
haruniwa
 oniさん、ようこそ。これからよろしくね。
 さて、言葉に関して興味深いサイトのご紹介をありがとうございました。
さっそく訪問し、興味を引かれた項目をよませていただきました。
 独自の言語観を披瀝されている内容で、oniさんが、面白く読んでおられること、納得です。

 「バベルへのツアー」管理人さんは、「異論反論があったらどうぞ」と、書いてくださっているのですが、言葉に関しては、さまざまな言説が飛び交い、ひとつひとつ反論していったら、きりがありません。

 ひとつだけあげておくならば。
「みどりご」を、鈴木健次さんは「肌に青緑色の蒙古斑のある生まれたての子供」と解釈しておいでです。
 今日、たまたま留学生への日本語の授業で、「和語による色彩表現」という講義をしました。和語の古来からの色彩表現は「黒、白、青、赤」の四色のみ。

 茶色や緑色などの色彩語は、「茶の色」「緑の色」として、後代に出来上がった色名で、「みどり」とは「新しく萌え出た葉」「生き生きした新鮮なもの」「つやつやした美しいもの」を表わすことばである、と説明いたしました。

 「みどりご」とは、生まれ出たばかりの、新しい生き生きしたこども」の意味である、というのが、古典学、日本語学の解釈です。
 このことは、日本語学研究、古典文学研究、言語学研究の定説となっています。

 ですから、鈴木健次さんの解釈は、「江戸時代の国学以来の研究成果とことなる新解釈」と言うこともできますし、「古来からの研究成果を顧みない、とんでも言語学」と評することもできます。
 世に「独自の言語研究」を標榜する民間言語学者は数多く存在します。たとえば「万葉集は、すべて韓国語で解釈できる」という類のものです。
 独自の研究から新しい視点を得られることもできますが、言語学の先行研究をふまえない解釈は、ときとして「とんでも系」となることも多いようです。
2005-11-29 18:03:08 ページのトップへ コメント削除

Re:ご訪問に感謝!
haruniwa
<続き>
 しかし、日本語に関して、すでに研究が行き届いている分野もありますので、それを無視することはできません。
 鈴木健次さんの言語解釈は、古代日本語から上代飛鳥奈良の言葉、平安古典語、室町期、江戸期の口語表現などについての研究が不足していると感じられます。
 言葉について直感を生かして、自分なりに解釈することはたのしい作業ですが、用例をあつめ、古典を解釈し、古代中国語、古代朝鮮語などとの比較、各地方言との比較など、膨大な研究の積み重ねで、ようやくひとつの言葉の解釈が出来上がるのです。

 独自の言語解釈は、おもしろいし、「的を得た内容」もあるのです。一概に間違っていると、一蹴する必要はありません。(「的を得た」は、「的を射た」の誤用表現が若者に広まっている慣用句です。)
 その解釈が正しいものと思いこみさえしなければ、楽しんで読んで、言葉への興味を持つきっかけとなります。

 oniさんが、楽しくことばに興味をもちながら読んでいらっしゃること、大切なことだと存じます。どうぞ、これからも言葉への興味を持ち続けてくださいませ。

 厳密な言語科学としての言語学、日本語学とは別のものとして、「楽しむことばの解釈」としてなら、鈴木健次さんの言葉のサイトは、とても面白いサイトだと存じます。
 ご紹介ありがとうございました。
2005-11-29 18:03:53 ページのトップへ コメント削除

ご感想ありがとうございました。
purelife11
タイトルに続き→とても参考になるお言葉ありがとうございました。
専門的解釈を頂き、勉強になります。
和語の色彩表現は四つしかなかったのですか。へ~と、驚くばかりです。
日本は外国の七色?よりも多いのかと思っていました。

それでも、歴史のいつを以ってということになりますから、西洋の七色というのも出展も明らかでないし、私が何かの書物を読んで感激し、単にそう記憶してしまっただけでしょうね。

ある本で読んだ話では日本語はどこの国の言葉にも属さないとか、なんだったか南の島国の言葉と似ているので、あれ、もう忘れてます。

言葉は、相手に自分の意志を伝える、伝え合うというコミニケーションツールであるばかりでなく、自分自身に自分の思いや考えをフィードバックする、思惟、熟慮の為には絶対に無くてはならないものだと思っています。

その意味では、日本人は文化に根ざした日本語の勉強をもっとする必要があるとも考えています。

語彙語蒐を増やす事によって、表現力が増すばかりでなく、記号で表される科学数学の分野に於けるエネルギーや状態の表現が豊かに適切になり、より数式化しやすい状況で脳内作業が行われ、発見や発明に寄与していると思っています。

それはアインシュタインや日本のノーベル物理学者の方、あれ?だれだっけ、最近物忘れがひどい!

まあ、科学者と言われる人の文章を読んでいて、そう思いました。
私たち凡人よりも、遥かに動詞や形容詞等の使い方が的を得ていると、、、。
これを、言語学的見地からはどのように言われているのでしょうか。

と、質問する前に、先生のホームで先に勉強して見ます。

何か大学に入り直した様な気になります。
今後ともよろしくお願い致します。
2005-11-29 20:14:23 ページのトップへ コメント削除

ことば大好き
haruniwa
 私は、ことばそのものも好き、特に日本語によって表現された言語文化作品が好きなのですが、「下手の横好き」から「好きこそものの上手なれ」までの道のりは遙かとおく、という所です。

>日本語はどこの国の言葉にも属さないとか

 学者によって、言語の分類には諸説あるのですが、日本語がウラルアルタイ語族のなかのひとつであることは、定説であると言ってよいでしょう。
 すなわち、朝鮮韓国語、モンゴル語、シンハラ語、タミル語、トルコ語などと、語の並び順(シンタックス)は同じです。

 ただし、インドヨーロッパ語族の中で、ドイツ語と英語が近縁関係にあり、スペイン語とポルトガル語のちがいは、日本語と沖縄方言のちがいより小さい、という程度の近さにある、ごく近い関係の言語はありません。
 最も近い関係にある韓国朝鮮語との関係も、語彙調査によれば、近い類縁関係にあるとは言えません。その意味では、日本語は、ウラルアルタイ語族のなかでも、孤立した存在です。

>なんだったか南の島国の言葉と似ているので

 大野晋さんが、タミル語(スリランカの言葉)と日本語が近い関係にあるという説をとなえていますが、大野さんの学説も、日本語研究のひとつの考え方であるにすぎず、タミル語が日本語の源流であると言い切ることはできません。
 むしろ、日本語は、南方系、北方系の「クレオール言語」であるというのが、最新の学説のひとつになっています。

>日本のノーベル物理学者の方

 寺田寅彦をはじめ、日本の物理学者には、名文家が少なくありません。
 1949年、日本で最初にノーベル賞を受けた湯川秀樹博士も、名文を残したひとりです。
http://www2.ocn.ne.jp/~haruniwa/oi0311a.htm
に、春庭エッセイとして、湯川秀樹の著書『ある物理学者の回想』についての感想と、「アインシュタインロマン」についての感想を伸べました。(春庭エッセイ2003/11/10)
あわせてお読みくだされば、うれしく存じます。

 ことばについて話していると、とても楽しいです。
 oniさんのおっしゃる通りに、言葉は伝達の手段であり、思考を形成する道具です。
 また、ことばについておしゃべりしたいです。
2005-11-29 23:22:07 ページのトップへ コメント削除

Re:ご訪問に感謝!
haruniwa
 oniさんが「母国性というアイデンティティを持たない」言語とおっしゃることがよくわからず、的確な返信ができませず、すみません。
 日本語を母語として生活している日本語母語話者のなかには、日本を母国としていない国籍の異なる日本語母語話者も大勢います。
日本語を母語(マザータング)とすることと、日本国への帰属意識を持つ、日本人アイデンティティは別のものだと思っています。

 クレオールについては、ご理解の通りでよいと存じます。
 「日本語はクレオール言語である」という説も、定説というわけでもないし、さまざまな論の中の一つとして存在する、という紹介です。単一の祖語をたどれる言語ではなく、さまざまな音声、語彙、シンタクスが複雑に重なりあった言語のひとつ、と言いたかったのです。

 ことばに関しては、さまざまな立場から、多様な見方、考え方があると思います。人それぞれの感じ方、直感によって自分の言語観を出していけば、それでよろしいかと。
2005-11-30 22:59:45 ページのトップへ コメント削除

Re:気をつけては正しい?
haruniwa
 私が自分を「ニッポニアニッポン語教師」と称しているのは、「どんどん変わっていく日本語容認派」だからです。
 今、主張しているのは、「ひらがなの長音表記も「ー」にしましょう」
カタカナでは長音表記を「ー」にしたのだから、もーそろそろ、ひらがなでもいいんじゃない?

 「本来の使い方」とは、何をさすのかわからないけれど、「今、わたしはこういう意味でこのことばを言っている」というのが、万人に受け入れられるなら、それが正しい使い方。
 春庭の「みんなが間違えて読めば、それが正しい読み方になる」という誤読についての一文を読んでね

 世界に3000以上ある言語の中で、日本語は音声と分法は難しいほうじゃありません。
難しい面があるとしたら、「場面に依拠して表現する」という部分でしょうね。
2005-12-01

ズがひく~い!
haruniwa
 頭がたか~いのも、鼻がたか~いのも歓迎ですから、そんな平身低頭なさらずに。
なんだか知らないけれど、どっかで無頼漢やってきたの?
春庭ウェブログハウスは、管理人がそもそも無頼カンであるからして、だれも遠慮しないで、タメグチきくことになってます。

 それとね、私、purelife11さんから授業料貰ってないので、私のこと「先生」って呼ぶのはNGで~す。
 他の人たち、「春さん」「HAL」と呼んでくれるので。どうぞ、「おはるさん」でも「はるさん」でも、敬称略「HAL」でもけっこうです。
あ、授業料1億円払った人には、私を先生と呼ぶことを認めます。

振込先:口座番号*******
2005-12-05 19:38:41 ページのトップへ コメント削除
~~~~~~~~~~~~~

<つづく>

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