にっぽにあにっぽん日本語&日本語言語文化

日本語・日本語言語文化・日本語教育

日本語の中のギリシャ文字

2012-02-21 00:30:57 | 日本語学
2006/02/06 月 
I・Ro・Ha Jirui Show Time(色葉字類抄待夢)>ギリシャ文字(1)ぐざいとシグマ

 ワープロソフトを利用していて、思いも寄らない文字に変換されるときがあります。

 春庭bbsに正月に食べたものの話を書いていたときのこと。
===========================
Re:美味しかったよ~ by haruniwa
うちでは、おせち料理、一日目二日目は和風ですが、3日目は「おせち、そろそろ飽きたね」ってことで、洋風&エスニックデーになりました。

 今年は、主菜がチーズフォンデュ、具材は、フランスパン、ブロッコリー、ジャガイモ、アスパラガスなどでした。
 副菜はメキシコ風トルティーヤ。薄いお好み焼き(クレープみたいな)の中に、トマト、レタス、ローストビーフ、スモークサーモンを包んで食べる。
どちらも、おいしかったです。
2006-01-22 10:23:35
==============================

 という、他愛ない話だったのですが、びっくりしたのは、チーズフォンデュの「ぐざい」と入力したら、いきなり「ξ」が出てきたこと。

 見慣れない文字。キリル文字(ロシア文字)とはちがうな、たぶんギリシャ文字と推理して、確かめると、はたして、ギリシャ文字のひとつでした。

 何種類かのアルファベットの中でも、ラテン文字(ローマ字)は日本語にも利用されています。
 アルファベットの語源は、ギリシャ文字の「アルファ」+「ベータ」→アルファベータ→アルファベット。

 アルファベットには、さまざまな種類があります。源流はシナイ半島で書かれはじめた文字。
 原始シナイ文字→フェニキア文字→ギリシャ文字→ラテン文字(ローマ字)、キリル文字など。

 日本人は、ラテン文字(ローマ字)だけをアルファベットと思っていますが、ロシア語のキリル文字も、ギリシア文字も、全部アルファベットです。

 仮名文字に平仮名とカタカナがあるのと同じように、アルファベットにも、ラテン文字やキリル文字がある。
 仮名文字がどちらも漢字をもとにして作られたように、アルファベットの各種は、どれも原始シナイ文字、フェニキア文字を元にして作られました。

 ラテン文字のアルファベットは、日本語のローマ字表記で使うし、中学校で英語を習うと、英語の文字として、義務教育で読み書きします。
 しかし、ギリシャ文字は、いくつかは日常生活でお目にかかるものの、グザイ「ξ」は、ぜんぜん知りませんでした。

 ギリシャ文字のアルファαは、「プラスアルファ」という外来語として日本語語彙のひとつになっている。ベータβは「ベータカロチン」などでなじみがあります。
 そのほか、私がなじんだギリシャ文字は、以下の程度です。

 「ガンマ=γ」、電磁波のひとつ。癌コバルト照射治療ガンマ線でなじみ。医療関係者だけでなく、一般の人も「ガンマ線」と聞くと、なんだかすごい治療をしているんだな、と思う。

 地図で見る河口三角州を、デルタ地帯と呼ぶのは、ギリシャ文字デルタの大文字が「デルタ=Δ」だから。小文字は「δ」。

 電気でなじみのオーム「Ω」。オームの法則ってならったなあ。カンペキ忘れました。

 ギリシャ文字のP・ρの読み方は「ロー」であって、「ピー」はΠ・πなので、ややこしい。
 円周率のパイ「π」は、ギリシャ文字「ピー」の別名「パイ」だ。

 円周率の3・14をいちいち計算しなくてよい「π」と書いておけばよいと言われたときは、面倒な計算が減ってうれしかったが、高校数学で「シグマ=Σ」が出てきてから、私の頭にとって数学は宇宙語になった。理解できる方々、尊敬しています。
<つづく>
08:48 コメント(14) 編集 ページのトップへ
2006年02月07日


ぽかぽか春庭「ギリシャ文字(2)パイとファイ」
2006/02/07 火 
I・Ro・Ha Jrui Show Time(色葉字類抄待夢)>ギリシャ文字(2)パイとファイ

 日本製のロケットの名前。「カッパ=κ・Κ」「ミュー=μ・Μ」「ラムダ=λ・Λ」
 パナソニック製のデジタルハイビジョンテレビの製品名は「タウ=T」これも、ギリシャ文字の読み方から。日常生活で見かけたギリシャ文字、もうこれくらいかな。

ギリシャ文字の読み方、4種類あります。古代ギリシャ語読み、現代ギリシャ語読み、英語読み、日本語慣用読み。
 日本語慣用読みは、ギリシャ語読みを取り入れる文字と英語読みを取り入れる文字が混じりあっています。

 「α・Α」は、古代ギリシャ語読みではアルパ。現代ギリシャ語読みだとアルファ。「δ・Δ」は、現代ギリシャ語読みだと、ゼルタだが、日本語慣用読みは、古代ギリシャ語読みと英語読みのデルタ。

 「ι・Ι」は、英語読みアイオタ、現代ギリシャ語読みはヨタだが、日本慣用読みは、古代ギリシャ式のイオータ。「π・Π」は、ギリシャ式はピーだが、日本語慣用読みは、英語式のパイを採用。
 「ξ・Ξ」は、ギリシャ語読みと日本語慣用読みはクシー、英語読みだとグザイ。
 
 ギリシャ文字Ωは、日本語慣用読みは英語式で「オメガ」。現代ギリシャ語読みだとオーメガ。
 昨日紹介した電気抵抗の「オーム」とは、Ωの文字の読み方ではなくて、人名です。
 オームの法則を発見したドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オーム(Ohm)にちなみます。

 電気抵抗単位としてオームの名を採用するにあたって、頭文字「O」は、数字の「ゼロ」と紛らわしく、単位記号なのか数字なのか、区別するために、ギリシャ文字Ω(オメガ)をオームと呼ぶことにしたのです。

 a******さんからのコメント、ありがとうございます。
 「 時計のオメガ Ω とオーム Ωと一緒ですね。・ω・
シグマは、○菱自動車のΣ がありましたね。
仕事で使う円の直径はパイというのにファイφを使うのが解せません。
投稿者:a***** (2006 2/6 17:31) 」

 ファイΦ・φは、見たことあったけれど、なんだったっけかな、そうだ、音声学でいう両唇摩擦音の国際音声記号だっ。思い出せてうれしい日本語教師。
 日本語だと「ふ / f / 」の発音だと思い出したが、確認のためにチェックすると。日本語慣用読みは、英語式ファイ。ギリシャ語読みフィーの「φ」、さまざまな記号として利用されている。

・音声記号として、「φ」は「無声両唇摩擦音」をあらわす。
 「そう、そう、やっぱりねっ。りょうしんまさつおん!」

・建築では、管の直径をあらわす。200φ=直径200mm「にひゃくぱい」と発音される。
 「へぇ!そうなんだあ。建築関係のお仕事をなさっているa*****さんも、直径200mmを200パイと呼んでいるんですね。」

 数学でπ(パイ)とは3. 1415926535 8979323846 2643383279 ..........のことだから、もし「200パイ」が「200π」のことなら、200×3.14のことになってしまい、直径200mmのことじゃ、なくなってしまいます。
 「φ」は、「直径」を意味する記号です。

 昔の人は「ファイ」という発音が難しかった。「フィルム」と発音できないから、「フイルム」と発音したように、直径をあらわす記号「ファイ」を「パイ」と発音し、それが現代まで慣用読みとして引きつがれているのだと思います。
 建築用語の「200パイ」は、「直径200」という意味です。
<つづく>
00:07 コメント(8) 編集 ページのトップへ
2006年02月08日


ぽかぽか春庭「ギリシャ文字(3)ファイとグザイ
2006/02/08 水 
I・Ro・Ha Jrui Show Time(色葉字類抄待夢)>ギリシャ文字(3)ファイとぐざい

・φは、アスキーアート顔文字で、筆記具を持った手を表現するのに用いられる(例:φ(..))
 「ふ~ん、使ってみよっかな。私、毎日φ(..)しています」

・数学で空集合を表わす「 Oに斜め線」の文字の活字がない場合に、φを代用記号として使用することがある。又、しばしば黄金比の記号としても用いられる。
 「空集合って何?黄金比って、聞いたことあったなあ、3:2?4:3?8:5?16:10?あれ、いくつだったっけ」

・電磁気学で、φは磁束密度を表す。
 「磁束密度?なんじゃそりゃ」

小文字のφは、
・素粒子物理学で、ストレンジクォークとその反クォークからなる中間子 (ss 二つ目のsの上に-がある)を表す。
 「? ??」

・量子力学では ψ とともに波動関数を表す。
 「うわぁ、すごいことになってきた。ストレンジクォーク?波動関数?、、、、ううっ、わからん。」

 φだけでも、なかなか頭に入りません。
 さて、「ξ=グザイ」ですが、ギリシャ読みは、クシー。
 数学や物理学をやっている人には、なじみの文字らしいのですが、私には見たことも聞いたこともない文字でした。

 数学と物理は、私にとってもっとも縁遠い存在です。
 チーズフォンデュの具材について書いたおかげで、「ξ」とめぐり会いました。

 チーズフォンデュの具材、パンも野菜もいけますよ。食わずぎらいはいけませんね。って、これからも物理学を食う気はなし。

 世界の文字、現在日常生活に使われている文字は28種類。
 漢字ひらがなカタカナ、ラテン文字(ローマ字)のほか私が習ったことがある文字は、韓国朝鮮語のハングル文字、タイ文字、アラビア文字の3種類のみ。

 書くところを目にした文字は、たくさんあります。私の知らない文字や忘れた文字を使う言語の留学生が自己紹介するとき、黒板に名前を自分の文字で書いてもらうことにしているからです。皆、誇らしげに自分の文字を書きます。

 パキスタン留学生のウルドゥ文字、カンボジア留学生のクメール文字、ラオス留学生のラオ文字、ミャンマー留学生のビルマ文字、モンゴル留学生のモンゴル文字。モンゴルでは普段はロシア文字をつかっていて、モンゴル文字で書けるのは自分のなまえだけだったが、、、、、

 ギリシャ文字を書くギリシャ留学生に出会ったのは、これまでにひとりだけでした。たしか、名前の文字に「ξ・クシー(グザイ)」は含まれていなかった。

 ヘブライ文字を書くイスラエル留学生、ふたり。
 ギリシャ文字、ヘブライ文字、そして、イスラエル国籍のパスポートを持って入国したパレスチナ人留学生が書いたアラビア文字、それぞれの文字に自分たちの母語と言語文化への誇りがあふれていました。
 
 t*********さんからのコメント、ありがとうございます。
 『 ギリシャ文字の読み、「アルファ、ベーター、ガンマ、デルタ・・・」の起源はヘブライ語で、「アレフ、ベツ、ギメル、ダレツ・・・」から借りた物です。
投稿者:t********* (2006 2/6 20:34) 』

 ことばと文字は、文化にとって大切な宝物。どの言語も、どの文字も大切にしていきたいです。
 世界の文字については、 http://www.nacos.com/moji/  のサイト、充実しています。

 じゃ、明日もせっせとφ(..) しますね。
<おわり>

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。