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日本語・日本語言語文化・日本語教育

ニッポニアニッポン語教師日誌 2011年2月

2011-02-11 08:24:00 | 日記
2011/02/11
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(1)バレンタイン・チョコセール

 春庭の授業、いよいよ後期のラストスパート。出講先の私立も国立(独立行政法人)のうちの一校も授業が終了し、あとはもうひとつの国立大学留学生日本語教育センターの2クラスの授業のみ。初級ゼロスタートクラスと初級後半スタートクラスです。

 初級ゼロスタートクラス、今期は16人在籍していたので、最初はどうなるかと思いました。初級ゼロスタートは、ひらがなカタカナもまったく知らないで日本にやってきた人たちのクラスです。手がかかるため、クラススケールはせいぜい10人まで。10人を超すと、教師はしんどい思いをします。

 今期、ゼロスタートクラスは、国籍もカメルーン、ベネズエラ、スペイン、フランス、ドイツ、スイス、カナダ、中国、台湾、カンボジア、インドネシア、モンゴル。実に個性豊かな学生が集まったクラスでした。温泉ファンになった学生がいたり、漢字オタクになったり、いっしょに日本に留学した双子姉妹で、一人は私立、一人は国立の大学に離ればなれになってしまったけれど、休みの日にはいっしょに銀座や渋谷へ遊びに行くという姉妹がいたり、、、、、背がすらりと高く、美人の双子姉妹が同じ顔で銀座をのし歩いたらさぞかし目立つだろうと思います。

 クラスのフランス人ハンサムボーイ。最近、授業を休みがちになってきたと思ったら、渋谷のデパートでバレンタインデーへ向けたスイーツショップの販促モデルとなっていて、夕方のテレビニュースに彼の姿が映し出されのだそうです。同僚先生のメール報告によると、「ここでお茶すると(チョコを買うと)、すてきなミシェル君と一緒に写真が撮れます、、、、とかナレーションが入っていました」だって。ほんとにかわいい顔立ちの「すてきなミシェル君」と写真が撮れるなら、私だってチョコ買っちゃうかも。

 そう思ったら即実行の春庭、同僚のA先生と渋谷にいっしょに立ち寄り、デパート7階へ行ってみました。バレンタインイベントとして、7階フロアにさまざまなチョコレートメーカーが店を出しています。その中のひとつのショップ、カフェコーナー併設で、コーヒー、ココアなどの飲み物を飲めて、ケースの中のチョコをその場で食べることもできるし、持ち帰ることもできる。
 、小さく切ったチョコに爪楊枝をさしてお皿に載せ、ミシェル君は「いらっしゃいませ!いかがですか~」と、お客にチョコを勧めています。

 生トリフチョコが一粒200円、という普段なら買うことはない値段ですが、A先生がトリフチョコを買ったので、私もフルーツチョコを買いました。「チョコ買ったら、ミシェル君と記念撮影できるんでしょ」と申し入れ、撮影しようとしたら、なんとケータイカメラはバッテリー切れ。ミシェル君との写真はできず、残念でした。でも、ミシェル君は、「これからもモデルのアルバイトを続けて行きます。来月発売されるメンズファッション雑誌に、ラコステのモデルとして出ます。アルバイトは日本語の勉強になります」だ、そうです。
 まあ、それじゃ、早速雑誌を買わなくては。

 今日学習した日本語文型のひとつは、「~したばかりのとき~」という表現の練習でした。クラスメートが「日本に来たばかりのとき、日本の料理が食べられませんでした」とか「日本に来たばかりのとき、日本語がわかりませんでした」という発表をした中、ミシェル君は「日本に来たばかりのとき、日本のブランドの服を買いました」と発表していました。ミシェル君、普段着のファッションもばっちり決まっています。
 
 ミシェル君が「バレンタイン・チョコ、いかがですか~」と勧めてくれるのは2月14日までみたいですけれど、14日と15日に行われる初級クラスの期末試験は大丈夫でしょうか。抜群に頭もいいミシェル君ですから、徹夜で猛勉強すれば合格点は間違いないでしょうけれど。

<つづく>
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2011年02月12日


ぽかぽか春庭「カナダの国民的プーチン」
2011/02/12
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(2)カナダの国民的プーチン

 2月9日、東京ははみぞれ雪でしたが、11日、朝から雪が降りました。夕方にはうっすら積もって、久しぶりの雪景色。南国から留学してきた留学生たちは、雪景色をみるのを楽しみにしていたから、東京の雪景色に大喜びしていることでしょう。ビルの上から降ってくる雪。「都会的」な光景です。
 2月7日の日本語初級後半クラスの授業で、「~的な」という言葉の練習をしました。最近は、「ワタシ的には~」なんていう若者言葉もありますが、「的」が付くのは、漢字2字の熟語です。近代的な、健康的な、権威的な、表面的な、などの例を挙げ、「代表的な」という教科書に出ている語を使って、短い文を作るように学生に指示しました。

 スペイン4人。ポルトガルひとり、アメリカふたり、カナダひとり、フィリピンひとり、モンゴルひとり、中国ひとりというクラス構成。スペインの留学生が4人いるので、教師からの例文として「スペインの代表的なスポーツはサッカーです」と言いました。2010年ワールドカップ世界一になったので。スペイン留学生は納得してうなずいていました。

 「日本で一番人気のあるスポーツは野球です。日本の代表的なスポーツは柔道と相撲です」さらに「カナダの代表的なスポーツはアイスホッケーですか」と、カナダの留学生に振りました。日本の相撲は「国技」を自称していますが、法的に決まったことではありません。一方、カナダは法律で「アイスホッケーとラクロスを国技とする」と公的に決めている国です。しかし、せっかく話をふったのに、ロックバンド活動に夢中の彼は「さあ、スポーツに興味がないから、わかりません」という気のない返事。そこで代表的な食べ物について聞いてみました。

 カナダの留学生が「カナダの代表的なたべものはプチンです」という文を作りました。私はプチンという食べ物を知らなかったので、え?と聞き返しました。「ロシアのプーチン」ならわかるのですが。私が飲み込めないでいると、「poutin」と、つづりを教えてくれたのですが、それでもどんな食べ物かわかりません。 
 「国の代表的な花について説明する」という説明文400字の作文宿題を、「代表的な食べ物」「代表的な芸術」など、なんでもいいから国のものをひとつあげ、それを他の国の人にもどんなものかわかるように説明する作文を書くように指示しました。

 プチン(プーティン)はカナダのフランス語地域ケベック州発祥の食べ物で、ジャガ芋を細く切って揚げたものやジャガ芋をすり下ろして団子にしたものを揚げ、その上にグレイビーソースをかけて食べる。ファストフード店や学生食堂で、もっとも手軽な食べ物として「国民的」ファーストフードになっているそうです。フライドポテトも「フレンチフライ」というから、フランス由来の料理法なのかもしれませんが、アメリカのファストフードはすぐに流行るのに、カナダのプーチン、日本で見たことがありません。
 新しい食品名をひとつおぼえました。

 留学生もそろそろコースの終わりに近づいて、試験のために猛勉強する一派がいると思うと、もうコースが終わった気分でデートやアルバイトに精を出す一派もいます。
 7日の月曜日の授業を終えて留学生センターから出て行くと、欠席した女子学生が通路にいて、ボーイフレンドと「情熱的」なキスシーンを演じていました。なんだ、風邪引いて欠席したのかなあと、同情してソンした。(うらやましいゾ、おばさんは!)
 まったく、近頃の留学生、日本に来ても、勉強より恋やアルバイトのほうが忙しいみたい。

<つづく>

2011/02/18
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(6)アフリカ料理

 北アフリカは、イスラム料理や地中海料理の影響を受けているので、エジプト、チュニジア、モロッコなどがひとつの料理圏を作っています。東京にあるアフリカ料理店はほとんどがこの北アフリカの料理です。
 西アフリカ料理は、フランス料理の影響を受けたものもあります。東アジアは、イギリス統治下で連れてこられたインド人が残留したこともあり、サモサなどインド料理がミックスしている。

 今まで私が教えたことのある留学生のうち、アフリカ出身の学生がいた国は。エジプト、リビア、チュニジア、モロッコ、セネガル、マリ、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン、ウガンダ、ケニア。赤道以南では南アフリカ共和国のみ。赤道以南の留学生にはほとんど会っていません。南アフリカからの留学生もボーア系の白人だったのです。4月から教える留学生に、初めて黒人の南ア出身者がいるとわかって、どんな学生か、どんな出会いかと期待しています。エチオピアからの留学生も4月から担当します。
 教え子出身国の料理店を順に検索してみました。

 中央線沿線、または池袋、新宿、渋谷の駅から歩いて5分以内という条件で絞り込んで、セネガル料理、カメルーン料理などがヒットしました。
 カメルーン、2010年ワールドカップで日本と同じE組になったことなどで、その国名が日本人にも浸透しました。有力選手の名のうち。エトオというのも、江藤のようで、親しみがわきます。2月7日に、池袋のカメルーン料理店へ行って来ました。

 1995年からイギリス連邦に加入しているカメルーン共和国。独立前はヨーロッパの植民地として複雑な歴史をたどってきた国です。
 1470年にカメルーンを最初に訪れたポルトガル人が、エビの多いことからカマラウン(camarão,ポルトガル語で「小エビ」)と名付けました。しかし、ポルトガルがカメルーンを植民地にすることはなく、1870年代に、ドイツ帝国からの入植者が入り、保護領としました。第一次大戦後、敗戦国からの割譲を受け、1922年には西部がイギリスの「西カメルーン」、東部がフランスの「東カメルーン」として委任統治領となりました。ヨーロッパ帝国主義によるアフリカの毟り合いです。

 カメルーンは、政治的にはフランスの植民地だった地域とイギリスの植民地だった地域に分けられましたが、もともとは、遊牧民、農耕民の暮らす北部と、熱帯雨林の農耕民が暮らす南部とに大きく分かれていました。

 食文化は北部では、羊肉や牛肉のほか、とうもろこしなどの穀類が主食。南部の海岸地方では、キャッサバやプランテーン(調理用バナナ)、魚などをパームオイルを使って調理して食べてきました。
 カメルーンの国民食にあたるもっともポピュラーな料理は、ドーレ(ンドレ)と呼ばれるほうれん草などの野菜やスパイスをミンチしたおかずをご飯とまぜて食べるもの。ピーナッツシチューなどのシチューと一緒に食べるフーフー(ヤム芋の粉をこねたアフリカのおもちのような食べ物)、鶏やマトンなどの肉類、魚などの煮込みやグリル。

<つづく>
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2011年02月19日


ぽかぽか春庭「オーヴィレッジ」
2011/02/19
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(7)オーヴィレッジ

 ともあれ、カメルーン料理の味を知るために、「都内では唯一のカメルーン料理店」という池袋の「オーヴィレッジ」という店にいきました。ネットで地図を検索し、池袋東急ハンズのひとつ手前の角を曲がる、と頭に入れて歩いたのですが、生来の方向音痴、見事に間違えて、ぐるぐるとあたりを経巡っても見つからない。ブログのレストラン評でも、「わかりにくい場所にあるので、コンビニを目印に行くとよい」とか、いろいろアドバイスが書いてあったのですが。エスニック料理店は浮沈が激しく、ちょっと見ないでいると閉店してしまっていた、なんてことも多い。

 しかたないので、洋品を売っているらしい店の前に数人たむろしていた黒人ニイちゃんのひとりに尋ねました。たぶん、池袋のアフリカ関係のことを知っているだろうと思ったので。
 すると「その交差点を左にまがって、ゲームセンターのそば」と教えてくれました。そのニイちゃんはガーナから来たと言ってました。ガーナはカメルーンのお隣すじだから、たぶんその情報は正しいだろうと信じて、またぐるぐるあたりをまわります。にいちゃんの情報通り、ゲームセンターの先に店がありました。雑居ビルの3階。道路に看板がでているのですが、見落とします。ほんとうにわかりにくい。
 
 店内はとても狭くて、10人以上が集まると思われる講師打ち上げ会の会場としてはどうかな、と思いましたが、カメルーンから来日して5年になるというママさんは「10人、OK。OK」と請け合っていました。「ここに10人座るよ」とママさんが言うコーナーは、どう見ても4人掛けくらいのスペース。ここに10人詰め込まれたら、隣の人と袖がぶつかりそう。しかも貸し切りにはせず、「ここ、10人。ほかのお客さん、ここ」と、他の客も入れるつもりらしいので、ちょっと考えてしまいました。

 私は、どれでも一品500円、というランチメニューから、「鮭のキッシュ」と「ワニのなべ」を選びました。キッシュは、あまり味付けがしてなくて、別添えの辛いタレをかけて食べます。「なべ」というのは、煮込み料理のことのようで、別段鍋仕立てにしてあるのではなく、お皿半分にクスクスを盛り、半分に野菜の煮込んだものが入れてある。「ワニ肉」は、ひときれ小さめのがポンと上にのせられていて、あまり味はわからなかった。ウサギ肉、ヤギ肉など、日本ではあまり食べない肉をグリルにしたり、煮込んだ料理がメインのようです。

 シェフもサービスもひとりで受け持っているママさんの話によると、食材はカメルーンとの間を行き来して、自分自身で運んでくる。自分が行けないときは、カメルーンにいるお母さんに運んでもらう。「この店の野菜、全部カメルーンのヤセイね」と解説してくれました。野生の野菜?まあ、30年前にケニアの田舎にホームステイしたとき、畑というより野っ原に出て、そこらの葉っぱを摘み取って煮て食べた家庭料理がありましたから、わからないでもない。

 池袋に店を出してから5年たち、ようやく学校の入学費用もできたので、現在渋谷の長沼スクールに日本語を習いに行っている、と話していました。私は1990年に短期間でしたが、長沼スクールで日本語を教えたことがあったので、そんなことから話がすすみました。
 5年の在日期間にだいぶ日本語の会話は上達したようですが、系統的に学習した人の日本語に比べて、耳から覚えた日本語は通じるけれど、やや表現が乱暴になります。
 通じることは通じるけれど、接客用語としてそれはドーヨという表現も「通じれば文句ないでしょ」式。フランクな日本語と言えるけれど、長沼スクールで「客に対して失礼のない日本語表現」が学べるといいのだけれど。

<つづく>
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2011年02月20日


ぽかぽか春庭「カメルーン料理」
2011/02/20
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(8)カメルーン料理

 いまオーヴィレッジのママさんがいっしょうけんめい制作中という自作メニューを見せてもらいました。
 「パン」が「バン」と書いてあったり、促音の小さい「っ」や長音の「ー」がなかったり。初級日本語学習者が間違えることの多い仮名遣いの見本のようなメニューになっていました。メニューの字体も自由で、かえって手作りらしい味を出しています。アフリカ流の「こまかいことは気にしない」マインドとでも言いましょうか。

 さすがにメニューに誤字はまずいだろうと思って、ママさんに許可をもらって、少々誤字をなおしました。「ウサギニクシチコ」。カタカナ「コ」は「ユ」の書き間違いでしょう。「うさぎ肉シチュー」の意味だろうとわかったのですが、「ヤサイタフリニクシチュ」というメニューの意味がわからず、「たふり肉って、何の肉ですか」と質問したところ、「野菜たっぷり肉シチュー」でした。
 デジカメで撮った写真が貼ってあるので、日本語の説明が少々わかりにくくても、どんな食べ物かはわかるからいいのですが。

 「フフ、やむのこなおもち」は、ヤム芋を粉にしたものを蒸しパン状にしたもので、ケニアのウガリ(とうもろこし粉の蒸しパン)のようなものだということがわかりました。カメルーンでは、ヤムの粉やキャッサバの粉を練ってオモチ状にして主食とし、野菜煮込みやピーナツスープにつけて食べるそうです。

 ママさんは、カメルーン料理教室も実施しており、近々カメルーン料理レシピ本を出版するのだと、息巻いていました。大使館の仕事のために来日してから、カメルーン料理店を切り盛りするようになるまで、とてもたくましく生き抜いてきたという感じがするジュディさんです。
 「本を売るパーティ、みんな来るよ、あなたもくるね」と、誘われましたけれど、、、、
 「オー・ビレッジ」みんなでワイワイ日頃食べたことのないカメルーン料理をつっつけば、狭さは気にならないかも、とも思いましたが、やはり一番のネックは10人ではゆったり座れそうにない、という点です。

 今期受け持った初級ゼロスタートクラスにカメルーン出身の留学生がいます。私がカメルーンからの留学生を受け持つのは、彼が二人目です。アフリカからの留学生は他の地域に比べて人数が少ない。アフリカの学生はアメリカか旧宗主国のヨーロッパに留学したがるので、日本に留学する学生は稀少です。
 今期のカメルーン留学生、ゼロスタートであいうえおの書き方から日本語学習を始めましたが、とても熱心で努力家。よく漢字の練習もしています。文法の飲み込みも早く、ほんとうに頭のいい学生です。

 「知る」という動詞を教えていたときのこと。
 「知る」は他の動詞とちょっと文法的に異なる部分があります。質問の時には「~を知っていますか」と「テイル形」で聞かなければなりません。「あなたは、○○を知りますか」と質問したら、日本語が下手な外国人と思われてしまいます。しかし返事をするときは「はい」なら「ええ、知っています」と、「テイル形」でいいのに、「いいえ」のときは「いいえ、知っていません」と答えたらダメ。「いいえ、知りません」と答えなければならない。
 留学生はよく間違えます。文法学でいうとアスペクトの問題なのですが、留学生にはアスペクトなんていう文法用語を使わずに説明し、とにかく習うより慣れろ。

 ペア練習をさせたところ、カメルーンからの留学生ヘンリー君は「エトオを知っていますか」と、隣の席の留学生に質問していました。隣のリェンフォンさんは、サッカーに興味のない中国人女性だったので答えは「いいえ、知りません」でした。私がリェンフォンさんに「劉暁波リューシャオボーを知っていますか」と尋ねたときも、「いいえ、知りません」でした。関心のない分野の人の名はわからないものです。たぶん、劉暁波の名、中国国内ではほとんど報道されなかったのだろうと思います。リェンフォンさん、2010年10月に来日するまで知らされてこなかったこの名を「知っています」と言えるようになってほしいけれど。

<つづく>
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2011年02月22日


ぽかぽか春庭「楽しクラス」
2011/02/22
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(9)楽しクラス

 カメルーン料理、店の広さに難点があったので、打ち上げの会場には不向きでしたが、2月18日、初級クラスのカメルーン出身ヘンリー君とA先生を誘ってもう一度ランチを食べに行きました。

 中国や韓国など、留学生仲間も多く、すぐに友人が作れる国の留学生と異なり、カメルーン出身の留学生は同国人の友達を見つけるのもなかなかたいへん。留学が成功するかどうかは、いろいろな国の人と友達になる柔軟さを持っていることと同時に、気軽に母語でおしゃべりできる友人を持てるかどうかにかかっています。
 カメルーンの海辺の出身か北部遊牧地帯の出身かで、だいぶ「ママの味」にも差があるようですが、出身地の名をつけたレストランを一軒くらい知っておくのもいいのではないかと考え、ヘンリー君がカメルーン料理店を知ることで友達が増えればいいなと思ったのです。

 ヘンリー君の在籍するクラスの最後の授業で、私はいつものお得意の「日本文化紹介授業」を実施しました。「手順の説明」というタスクで「最初に・まず、次に、それから・そして」など、順序立てて作り方などを説明する読解文を読みました。読解文では「図書館カードの作り方」というあまり面白くない内容だったので、さっと読み、次に「手順の説明が聞き取れるかどうかの応用問題」と称して、折り紙のカブトの作り方を説明しました。

 説明しながら皆でいっしょに折っていきます。どうしても角と角をぴしっと合わせられない学生や、なぜか上下を逆さまにしてしまう学生もいて、教師が折り直しをして、A3裏紙利用の練習用カブトを折りあげました。次に、大型広告チラシ(マンションの販売広告)を正方形に切ったものを利用して、大きなカブトを作りました。出来上がったのをかぶって大喜び。ケータイで写真を取り合って、「サムライハットだ!」とはしゃいでいました。

 授業が終わったあと、事務官にシャッターを頼んで全員で記念撮影。学生がケータイで撮った写真も「私のメールに送ってね」とメールアドレスを伝えたところ、オリバ君が日本語のメール文とともに皆の笑顔の写真を送ってくれました。

「私たちはすべての先生からすごいいじゅぎょうをもらいました。どうもありがとうございました。楽しですね!」

 「すごいい授業」とは「すごく良い授業」の意味でしょう。「楽しですね!」の気持ちは、写真の笑顔からも伝わってきましたよ。

 100クラスは、16日水曜日の試験終了後、クラス全員で集まり「おわかれクラスランチ」の会を行いました。「しゃぶしゃぶ食べ放題パーティ」へ、私にも参加を募るメールが届いたのですが、残念ながら他大学での試験実施があり、参加できませんでした。
 参加なさった先生から「楽しい会でした」とうかがい、学生からのメールでランチパーティの写真も届きました。

 試験の結果、よい成績で進級する学生もおり、わずかに点数が足りずにもう一度初級後半からやり直しという学生も居ます。クラス皆が、それぞれの春に向かって新しい第一歩を踏み出せるよう、応援していきたいと思いました。

<つづく>
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2011年02月23日


ぽかぽか春庭「お別れランチ」
2011/02/23
ぽかぽか春庭インターナショナル食べ放題>春を待ちつつ食べ歩き(10)お別れランチ

 そんな「楽しクラス」での授業を終え、ヘンリー君は別の大学の大学院へ行きます。これでクラスメートともお別れになってしまうので、カメルーン料理店で新しい出会いがあるといいなと思いつつ、料理を頼みました。
 ビーナツシシュー、オクラシチュー、キャッサバのフフ、ヤムのフフなどがテーブルに並べられました。

 ヘンリー君がこれから日本で作物学を研究すれば、故郷のキャッサバやヤムの収穫量が向上する研究成果が出るかも知れません。大学院の指導教官は「トウモロコシの収量成立過程の解明」や「水稲冷害早期警戒システムの構築」を研究してきた「生涯、アグロノミストを目指したい」と書いていらっしゃる方です。アグロノミストというのは、土壌分析や植物の樹液分析によって肥料設計などの、「よりよい作物収穫」を目指す科学者のこと。宮沢賢治が目指していた研究者です。きっとヘンリー君の研究にとって、よい指導者となってくれることと期待しています。

 18日のオーヴィレッジで、ヘンリー君はママさんと英語で話していたところを見ると、カメルーンに村ごとに250もの言語があるという中で、同じ言語で話が通じる相手ではなかったみたい。
 でも出会いの収穫もありました。店内で食事をしていた大学院生、これからカメルーンの大学へ行き、現地調査をしてくるというのです。その人はカメルーンでカカオの流通を中心に農業経済の研究をしているそうです。ヘンリー君もカメルーンでは収穫経済学cropeconomicsを研究してきて、日本では作物学の研究室に所属して研究を続けるので、話が合いそうでした。

 名刺をもらったので、これからヘンリー君と知り合いになれればいいなあと思います。カメルーンをフィールドに選んでいる研究者と知り合いになれば、そこから人の輪が広がるかも知れません。日本での最大の収穫は、無論研究がまとまって博士号を取得することですが、その過程でいろいろな人と出会うことも日本留学の成果になると思います。

 ヘンリー君からお礼メールが届きました。
  こんばんはせんせい、
  私はとても元気で、うれしいです。先週木曜日に、昼ごはんはおいしかったです。私 はいろいろな料理を食べ過ぎましたですから、晩御飯を食べられませんでした。先生も う一度、ありがとうございます。

 私も、ヘンリー君とカメルーン料理を食べたこと、とてもうれしく楽しいひとときでした。私からもありがとう。