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ニッポニアニッポン語教師日誌 台風前夜同窓会

2010-06-13 09:09:00 | 日記
2011/09/23
ぽかぽか春庭十一慈悲心鳥日記2011>夏のおでかけリポート2011(8)台風前夜同窓会

 台風一過。15号は大きな被害をもたらしました。21日、東京も強い風雨、午前中の授業2コマを終えたら、「午後の授業はすべて休講」という大学からの連絡があり、午前午後、私立2校をかけめぐる後期水曜日の授業、第1回目の午後は、早々に帰宅しました。

 20日夜、ときおり強くなる風雨のなか、「2009年に中国で教えたクラスのミニ同窓会」に参加しました。関西東海地方ではそろそろ台風の影響が強くなってきたというニュースを耳にしてはいたのですが、大阪から上京するという教え子ショーさんが「東大で開催される学会に出席するので、先生に会いたい」とメールをくれたので、急遽「東京にいる学生は集合!」の連絡をまわしました。2009年に教えた学生、京都に3人、大阪に1人、岐阜1人、名古屋1人長野1人のほかは、11人が東京組です。

 急な連絡だったので、2、3人も集まれれば上出来かなと思っていたら、2009年10月に来日した学生の東京在住11人のうち8人が「赤門前6時」という待ち合わせ時間に集まりました。来られなかったうちの一人は、研究資料探しのため中国に帰国中。もうひとりはその恋人。東京在住といっても、国立に住んでいる一人は、「赤門まで90分かかった」と駆けつけてきました。

 この国立から来たリュカさんは、2007年に受け持ったチョエンさんと同じ指導教官なので、近況を伝えてくれました。チョエンさんは、、留学の奨学金支給が来年の3月で終わるので、博士号を取得できなくても「博士課程単位取得満期退学にするつもり」だそうです。日本語で論文を書かなければならない専攻の場合、よほど付きっきりで日本語の面倒を見てくれる協力者がいないと、論文提出と質疑応答が難しいのです。帰国してから中国語で論文提出という方法もありますが、「最後までがんばって」と私からの伝言をリュカさんに託しました。

 2007年に中国で受け持ち、日本の大学院博士課程に入学した学生は、理系の人は2011年3月に、文系の何人かは2011年9月に博士号を取得しています。チョエンさんのクラスの「班長(学級委員長)」だったリンさんはちょうど9月19日夜に「先生、おかげさまで博士号を取得し、明日帰国します」と、電話をくれました。国際関係論の論文、立派にまとめたのだろうと思います。

 リンさんは文系ですが、英語で論文を書いたはずですから、大丈夫でしたが、外国人が日本語で論文を提出するのはほんとうに難しい。中国滞在中に東大博士過程で学んだという村上春樹研究者が「中国の大学に博士論文を日本語で提出する」のに際し、添削を頼まれたことがありました。知り合いの先生からの依頼だし、中国人の村上春樹論がどのようなものか興味があったのでボランティアで引き受けましたが、博士論文として内容はすぐれていても、やはり日本語表現にはボコボコ変な表現があって、添削箇所はかなりの量に上りました。

 大学院で交通学の研究を続けているショーさん、大学によって規定は違いますが、博士号取得のためには、ジャーナルと呼ばれる学会雑誌に何本かの論文掲載や学会での発表などが義務づけられていることが多く、ショーさんの今回の発表も、博士号への大事な布石です。

 交通エネルギー論を専攻しているというので、「発表は、日本語で?英語で?」と尋ねると、「どちらのことばで発表してもOKなのだけれど、学会に集まるのは日本人なので、日本語で発表するといろいろ難しい質問を日本語で質疑応答しなければならないから、英語で発表して英語で質疑応答したほうがいいって、アドバイスを受けました。英語での質問だと、日本人はあまり突っ込んだ質問をしないからって」

 「東大の学食で食べて見たい」というショーさんの希望だったので、最初は安田講堂地下の中央食堂に行ってみたのですが、東大在学中の学生たちは、いつもの定食ではせっかくの同窓会が盛り上がらないと思ったようで、赤門前の「美味しい屋」という中華屋に行くことになりました。「先生、美味しい屋は、名前はおいしいですが、実はあまり美味しくありません。でも、近いから学生はよく行きます」という店。

 海老マヨいため、酸辣湯など、ひとり一品好きな中華料理を注文して、ビールで乾杯。美味しい屋は、中国人の口には「日本の中華料理は、どっか気が抜けている」という味のようですが、私にはフツウの中華です。美味しい屋の料理を美味しくいただきながら、それぞれの近況報告を聞きました。

 一番のビッグニュースは、ルールーの「私、この夏結婚しました」という報告。みなでキャーキャーいいながら、ケータイの画面のハンサムなフランス人青年の顔を見ました。東大の日本語クラスのクラスメート。この夏にフランスにいっしょに行って家族に会い、結婚の届けを出したとか。「フランスではごく簡単な式だったので、中国の故郷と日本でも披露宴をしたいのだけれど、今思案中」と嬉しい悩みを語っていました。

 逆に「中国からいっしょだった恋人と別れた」というコーキさんや「中国の故郷に帰省したとき友人に紹介された人と恋人になった」というリーさん。カショさんは、「日本にいっしょに来たがっていた私の恋人は、今アメリカに留学しています」と、超長距離恋愛中。今回来られなかった人のうち、京都のキョーさんは「初めての恋人ができた」そうだし、同じく京都のヨーさんは婚約者と結婚。ソさんは「前の恋人とは別れて、新しい恋人といっしょに住んでいる」そうだし、ヨーショーさんは「ただ今、学会発表のためにスペイン、イタリアを旅行中」など、それぞれの活躍や恋愛模様も知ることができました。

 みな、私生活でも研究でも充実した日本留学生活を送っているようなので、春庭老師としては嬉しいミニ同窓会でした。
 21日に大阪に帰ると言っていたショーさん、交通状況が心配でしたが、「クラスパーティ、楽しかったです。ありがとうございます」というメールが来ました。無事帰阪し、これからも頑張っていくことでしょう。注油!

 教え子のこれからの活躍を期待しつつ、台風の通過をじっと待っていました。被害が大きかったところ、たいへんだろうと案じられますが、東京は22日は、台風一過の秋晴れが広がりました。夜にはまた雨でしたけれど。晴れもあれば雨もある。台風と地震が同時に来た21日夜はこわかったけれど、なんとか無事に過ごしていきたい。老師はまだまだ老け込むわけにはいきません。

<つづく>