ディスカスの繁殖で必ず直面する問題と言って良いのが生まれてきた幼魚の奇形。
少ない時にはほとんど出ないのですが、出る時は数パーセント以上の確率で出ます。
奇形の箇所や度合いは様々で、簡単に見分けがつくほど判りやすい物であれば良いのですが、
中には症状が微妙で判断が難しい場合もあって、過去にはプロでさえ見逃して販売してしまい、
指摘されていたケースもありました。
先日、奇形を見分けるポイントについてメールで質問がありました。
初めて直面した時に奇形の判断に悩むケースは大いにあると思います。
そこで…今回は過去の記録画像をもとに判りやすい写真で解説してみます。
※これから公開する画像は人によってはグロテスクと感じ、気分を害されるかも知れません。
そういうのが苦手な方は読み進めるのを止めてください。
私の場合、幼魚育成の過程で選抜を始める前に、まずは奇形と判断したものを全て淘汰します。
口が大きく曲がっています。
これほどハッキリ見て取れるなら遠目にも判りますが、口曲がりは微妙なケースも多いです。
厳正に判断するためにも、正面からまっすぐ魚を見て、体の軸と口の位置を確認するのですが
判断基準をシビアにすると予想外に多く淘汰しなければならないケースもあります。
真ん中の個体、周りと比べて明らかに成長不良ですが、それ以前に明らかに顔付きがおかしく、
目の下のエラ蓋が完全に落ち込み、くぼんでいます。
ここまで酷くなくてもエラ蓋がくぼんでいる魚は後に成長が遅れる事が多く、
気がついたら淘汰した方が無難です。
左右の眼球、黒目の大きさが明らかに違います。
水槽で遊泳している時は片面ばかり見ているので気付き難いのですが、正面から観察すれば
すぐに判ります。
目の奇形は他にもあって、埋もれていたり黒目が欠けていたり未発達で無かったりと様々です。
この個体はエラ蓋が無く、鰓弁ばかりか鰓弓まで見えていました。
ここまで鰓の欠損がある個体は稀ですが、鰓蓋が短く、閉じても隙間から中身が見えている
個体は結構います。
昔、ワイルド成魚でも鰓の短い魚が完品としてべらぼうな値段で売られているのを
見た事があり、以来私がディスカスを購入する際に必ず見るポイントです。
私が選別を行う時、必ず使う小型のプラケースです。
ここに1匹ずつ掬っては入れ、前後左右からしっかり観察して選別していきます。
こうする事で網で追い回してるだけでは気付き難い微妙な奇形も見つけ出す事ができます。
まあ100匹もいたら大変な作業ですが、自分の中での通過儀礼みたいなもので…
生かす魚、淘汰する魚を自分で決めるのですから、真剣にやってます。
ちなみにこのケース内の幼魚も奇形なのですが判るでしょうか?目と頭部の稜線が異様に
近過ぎて全体におかしな雰囲気を出しています。
いくつもの繁殖をこなし、幼魚を見慣れてくると、パッと見た時の違和感でも一定以上の
奇形は見抜けるようになるはずです。
写真は用意してませんが、他に奇形として早期淘汰する私の基準として
「各ヒレの欠損」「極端に酷いバーチカルの乱れ」「成長不良」が挙げられます。
ただし、成長不良と勘違いして小さめの個体ばかり淘汰してしまうと、最後に♀が居なくなった…
なんて事も有り得るので注意してください。
選別淘汰とは飼育歴に関わらず、いつまで経っても嫌な作業です。
しかし、淘汰無くしてのブリーディングは有り得ません。
奇形魚の選別はまだ納得してできますが、本当に辛いのはその先で正常な幼魚も減らして
いかなくてはならない事です。
初めてのブリーディングは驚きと発見に満ち溢れ本当に楽しいものですが、ネガティブな面からも
目を逸らさず、覚悟して取り掛かってください。
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1匹ずつプラケースに入れるんですか!?
とっても勉強になりました(^^)
この記事を参考に、私もちゃんと違いが判別できるようになりたいです!!
大きくなるとわかる事もあるし、
大きくなったものを淘汰するのも、
心が折れます
倫理と芸術の狭間なのでしょうが、、、
勉強になります
逆にこういう魚を残します、何故ならここの部分はこうなるからです
なんて言うのもお教えいただけるとありがたいです
プラケース判別やってます。かなりシビレますが(笑)
記事に載せた写真は判り易い物ばかりですが、微妙なのばかり沢山判別してると
たまに良いのか悪いのか判らなくなってきます。そういう時はもうほとんど「感」ですね。
本当にそうですね。はっきり見えるまで全部サイズアップすれば間違いないのでしょうが、
半年以上経った若魚は正直幼魚を淘汰するより辛いです。
自分が最後に残す魚の基準というものは確かにあるのですが、
この部分がこうなると言うのはなかなか難しいです。
1番手で期待していたはずの魚が一緒に育ててるはずの2番手、3番手に抜かれるなんて事もよくありますし…
そんな生き物ならではの不確定要素がまた楽しいのかもしれませんね。