GREEN NOTE

ワイルドグリーンディスカス中心のアクアリウムブログです

アクアリウムの引き算

2013年12月14日 | ディスカス

写真構図は引き算…私のもうひとつの趣味、写真の世界でよく使われる言葉です。
要は構図内に不要なものがゴチャゴチャ入っていると主題がぼやけ、目立たなくなってしまうという
事でしょうか。不要なものをどんどん外していき、表現したいものを極力シンプルに残せば、作品が
より一層印象深いものになります。

実はアクアリウムもこれと似たような側面を持ち合わせています。
では、アクアリウムにおける引き算とは何のことか…


例えば、水換え用の溜め水を準備する場合、多くの人がコットン+カーボンの浄水器を使ったり
エアレーションをかけて瀑気していますが、これは水道水からコットンフィルターを使って異物を
取り除き、カーボンで塩素を抜き、エアレーション瀑気で二酸化炭素を抜いている訳です。
方程式っぽく書くとこんな感じですかね…

水換え用水=水道水-異物-塩素-二酸化炭素

水槽内の飼育水についても同様に引き算が成り立ちます。
飼育水中に漂うゴミやエサのカスはスポンジで物理濾過し、糞は吸い取り、それでも発生した
アンモニアを濾過細菌が亜硝酸に変え、亜硝酸を硝酸塩に変え、蓄積した硝酸塩を水換えで排出。
硝化や生体の呼吸で発生する二酸化炭素もエアレーション瀑気で抜きます。つまり…

飼育に適した水=汚れた水槽水-残エサ、糞、ゴミ-アンモニア-亜硝酸-硝酸塩-二酸化炭素

アンモニアや亜硝酸は引き算というより、変化なのですが、おおむねこんな感じで良いでしょう。
一定のサイクルでこの引き算が成立する限り、ディスカスを調子よく飼育する事ができます。
病気やイジメでもないのに、ディスカスが調子を落とすのは多くの場合、この引き算の項が何処かで
破綻しているのが原因です。
本来、ディスカス飼育はいたってシンプルな引き算で完結し、上の方程式を確立すれば「水」に関し
て問題は起こりません。
逆にプラスするもの…主にコンディショナーや添加剤の類ですが、先の引き算が成立していなければ
何を使ってもアウトです。
あれこれ追加するよりもまずは引き算を確立し、シンプル化する事が先決でして、不調を足し算で
解決しようとすれば、出口の見えない迷宮にはまってしまいます。

そして前回の記事でようやく試作に漕ぎ付けたマイクロバブル濾過装置は、言ってみれば引き算を
より強力に効率よく発揮するために考案した濾過装置で、考え方はいたってシンプルです。


8ヶ月になる秋水甲タイプで生体を使ったテストを開始しました。
配管やら配線やらゴチャッとして美しくないですが、テスト用という事でお許しください(笑)


左のマイクロバブル槽では、勢いよくマイクロバブルが発生していますが、前回の試運転より発生量
が少し落ちています。原因は試運転時の水温15℃に対し槽内の水温が29℃と水温が高いため。
マイクロバブルは水温が高くなるほど発生し難くなる性質があります。
これは想定内の事で、必用十分な泡の量です。
右の生物濾過槽では濾材として昔からお気に入りのサブストラットプロを使う予定ですが、今回は
バクテリアの着生が間に合わず、とりあえずスポンジフィルター使ってます。


マイクロバブル槽を上から見ると、汚れが泡で浮き上がり、漂っているのが見えます。
これは試運転時の浄水では見られなかったもので、ハンバーグを与えた後や糞掃除で飼育水槽を
濁らせた後に多く発生し、以後排水するまで泡で押し上げられ表層を漂い続けます。
通常の濾過装置ではこの微小な汚れが水槽内を回り続ける事になり、濾材やスポンジの目詰まり
を引き起こすのでしょう。
感覚的にマイクロバブル槽では濾過というより、水を洗っている…そんな感じです。


マイクロバブル槽を通過して、生物濾過槽へ導かれる水は極めて透明度が高い水です。
本来、バクテリアのエサになる有機物の持込みが極めて少ないため、新規で立ち上げると生物濾過
の立ち上がりが遅くなりそうな気さえします。濾材の目詰まりがし難そうではありますが。


90ガラス水槽では、スポンジフィルター、ヒーター、サーモを撤去し、濾過槽に移設したおかげで
とてもシンプルになり、気持ちいいです。以前はだいぶゴチャゴチャしていました。
できればストレーナーのP2も撤去したい所ですが、それだけは無理ですね(笑)
こいつを隠すための「和風でお洒落なモノ」探しております。


ディスカスの変化として何と言いますか、泳ぎがゆったりして鰓の開閉も小さくゆっくりで…呼吸が
静かだと感じます。溶存酸素が多くなった効果だと思われます。
今度、酸素チェッカーで確認してみようと思います。


スポンジフィルターを流用したとはいえ、設置1日で透明度が高く、水が輝いてきました。
この状態を長期維持できるのを願っています。
スポンジフィルターでは透明度を維持するのに結構マメなメンテが必用でしたから…

まあ、何はともあれ無事に泡が立ち、導入できて良かったです。試運転の結果によってはお蔵入り
の可能性もあったわけですからね(笑)
マイクロバブル濾過のテストは始まったばかりですが、私の頭の中では次の本番用の改良設計が
始まっています。