野の花だより

日々のささやかなこと*好きな音楽*のんびりと

優しい思い出

2016年05月22日 | あしあと
学生さんが机に置いたのは
薄茶色の表紙の大きな楽譜

これはなぁに?

と尋ねると

吹奏楽の指揮者をしていて
その楽譜です

そう教えてくれました。

見てもいい?

なかを開くと
たくさんの楽器のメロディーが
紙一面につまっています。

ひとりの演奏者さんの
ひとつの楽器の音色も好きだけれど
たくさんの演奏者さんの
たくさんの楽器の音色が
重なったり、入れ替わったり、かぶさってきたり…
そういうハーモニーがとても好きなものですから
ハーモニーを導く指揮者さんにときめきました。

同じ楽譜でも
指揮者さんの心に広がる景色によって
奏でられるハーモニーは
ひとつひとつ違ってきますものネ。

ところで
○○さんは、なんの楽器をされるの?

と尋ねると

サックスです!

と教えてくださいました。

サックス!
魅力的な音色の楽器!

そして
ひとつのあったかい思い出がよみがえってくる楽器です。

次男をおなかに授かったとき
切迫流産の様子があり
入院するようにと言われました。

が、病院がとても苦手なもので
かえってストレスになるから
家で過ごしたい気持ちを言いました。
ごはんとトイレ以外は
決して動かないことを条件に
家に帰れることになりました。

そんな頃のことです。

自宅安静していると
一本の電話が入りました。

出てみると
思いがけないことに
インターネットで言葉をかわしている方です。

(当時はまだブログというものはなく、
それぞれがホームページを作り
ホームページのなかに設けた掲示板というもので、
言葉をかわし、ふれあっている時代でした)

ん?

電話の向こうから
音楽が聴こえてきました。
とても優しい音楽だ…。
耳をすませて聴きました。
心に沁みるようなメロディー。

その方がつくられ、奏でられる
サックスのメロディーは
「Heart」という曲。

自宅で静養していることを心配して気遣って
お見舞いしてくださったのでした。

こんな応援や励ましの気持ちの伝え方をしてくださるなんて
なんて優しいお気持ちの方なんだろう。
温かな音色と共に
その方の優しさが心に沁みました。

その頃、わたしは少しも存じ上げなかったけれど
(その方もなにもおっしゃらないから)
後に人づてにその方は
平原綾香さんのお父さんだと聞きました。

学生さんも高校時代に
学校に来られたそのサックス奏者さんと
一緒に演奏をされたことがあり
とても好きな方です!と
そのサックス奏者さんにまつわる
それぞれの思い出を話し
あったかい気持ちになりました。

一冊の薄茶色の大きな楽譜から
思いがけずタイムスリップ
二人で
あったかい気持ちをわかちあい…

優しさっていうのは
ずっと心のどこかに残っていて
何度でもよみがえって
そのたびにまた
あったかい気持ちになる
そして
わかちあえるんだなぁ。

サックス奏者さんは平原まことさんとおっしゃる方です。
「Heart」という曲は
「moon healing」というCDに収録されています。





















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