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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

やきとりオリンピックの夢

2015-07-29 15:28:59 | 日記

「やきとりオリンピック」は商標登録できるか?商標法4条1項6号は、国、地方公共団体等の著名な標章の登録を認めないことを規定しています。ただし、本人が出願する場合は、この規定は適用されません(商標法4条2項)。

したがって、都道府県をはじめ、オリンピック、IOCなどの標章を、関係のない者が出願しても商標法4条1項6号が適用されて登録が認められません。さて、「やきとりオリンピック」商標事件の概要は概ね次のとおりです。

登録第5336468号商標「図形/YAKITOLYMPIC/やきとリンピック」(指定役務 第41類「セミナー又は講演会の企画・運営又は開催、やきとりに関するイベント・博覧会又はシンポジウムの企画・運営又は開催」)に対して、IOC( 国際オリンピック委員会)が異議を申立てました。その結果、登録は取消されました。

IOCは、日本においても第41類の役務について、「オリンピック」、「OLYMPIC」および、五輪の図形に関し商標権を所有しています。IOCの異議申立ての根拠は、前述の4条1項6号の他に、公序良俗違反の商標法4条1項7号、商標類似に関連する商標法4条1項11号、15号、19号の規定が挙げておりました。

特許庁は、商標を構成する欧文字「YAKITOLYMPIC」の部分が「OLYMPIC」を含んでいることから、著名な「OLYMPIC」標章と類似すると判断して、商標法4条1項6号違反で登録されたものであるからとしてその登録を取り消しました。

そこで、権利者はIOCから異議申立てを受けた後に、別途「YAKITOLYMPIC」の文字を削除し、輪の数を5個から7個に変更した)「図形/やきとリンピック」の形で第41類の役務を指定して再度(?)出願し登録されています(登録第566064号)

なお、IOCは、この商標に対しても、同じような理由で異議申立てをしましたが、特許庁は、「やきとリンピック」の文字から「オリンピック」の称呼・観念が生じることはなく、図形部分も五輪マークとは明らかな相違があると判断し、IOCの主張を退けました。

2020年の東京オリンピックは決まりましたが、「おめでとう東京」などの商標も新たな話題になりそうですが、こうした商標問題が東京オリンピックを「おめでたくないオリンピック」にしないよう願うのは、小生だけではないと思います。