かつて、シャネル製品でない香水に、シャネルの文字を記したことが商標権侵害となるかが争われた事例がありました。その概要は概ね以下の通りです。A社は、スティック状の容器に入った香水を販売しており、この香水のパッケージの説明書き中に「CHANEL No.5」と太字で標記していました。この説明書きは英文で書かれていました。そして、この「CHANEL No.5」の表示が商標としての使用であるか否かが争われました。
結論としては、この表示は商標としての使用であり、シャネルの商標権の侵害であると認められました。その理由は、(1)CHANEL No.5の部分が太字で目立つから需要者の目を引き、(2)一方で他の部分は英文であるから需要者の中にはその意味を理解できない者が少なくない、(3)シャネル社の登録商標が非常に著名であることを考慮すると、CHANEL No.5の太字が商品の出所を示す標章(つまり、商標)であると理解する需要者は少なくないから、という判断です。
需要者によっては、侵害とはいえないという人もいると思いますが、CHANEL No.5の部分を太字にしていたことや、説明書きが英語であったことなどを総合的に判断して裁判所は侵害を認めたようです。まあ、不正な目的も垣間見える事案ですので、妥当な判断かと思いますがみなさんはどう判断しますか?買い物の際などには他人の「OOタイプ、OO風」等の表示にはみなさんも気をつけましょうね。