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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

禁止権の蹴りあいの具体例

2015-07-23 11:30:03 | 日記

昨日は、商標の禁止権の蹴りあいについて触れた。今日はその具体例を考えよう。例えば、「獅子」と「ライオン」とは、観念が一致するので、両者は類似する。また、「ライオン」と「テイオン」は、「ラ」と「テ」が紛らわしく、全体の外観が似ているので、両者は類似する。

しかし、「獅子」と「テイオン」とは類似しません。そこで「獅子」と「テイオン」とが商標登録されている場合、登録商標「獅子」に「ライオン」が類似するからといって、「獅子」の権利者が「ライオン」を使用すると、「ライオン」は登録商標「テイオン」にも類似しているので、登録商標「テイオン」の禁止権を侵すことになる。

一方、登録商標「テイオン」に「ライオン」が類似するからといって、「テイオン」の権
利者が「ライオン」を使用しますと、「ライオン」は登録商標「獅子」にも類似しているので、登録商標「獅子」の禁止権を侵すことになる。

したがって、登録商標「獅子」の権利者も登録商標「テイオン」の権利者も、ともに自己の登録商標と類似する商標である「ライオン」を使用することができない。これを禁止権の蹴りあいといいますぞ。なお、昨日も触れたように「使用権」は商標を使用する権利で、「禁止権」は他人の使用を排除する権利ということをお忘れなく。

ついでに、例えば商品「味噌」の商標権を持っている権利者は、味噌にしか商標を使用できないが味噌は調味料に包含されるので「調味料」の範疇に他人を寄せ付けない。これを禁止権という。ちょっと説明が下手ですみません。要するに商標でも結構奥深いと理解してくださいな。