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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

類似の商標

2015-07-10 10:19:27 | 日記

商標権は類似の商標を認めていません。では、皆さんは電話のiPhoneをどう発音しますか? 「アイホン」あるいは「アイフォン」と呼んでいる方が多いのではないでしょうか?「テレホン」「インターホン」「イヤホン」「マイクロホン」のうように、日本ではphoneを「ホン」または「フォン」と読むのが普通で、iPhoneもその流れで「アイホン」と読まれてしまうのでしょう。

しかし、CMでは、iPhoneを必ず「アイフォーン」と呼んでいます。英語の発音としては「アイフォーン」でもおかしくないでしょうが、英語の通常の発音と比べても「フォーン」と明確に発音しています。それは電話機についての「アイホン」は登録商標だからでしょう。商標権者はアップル社ではありません。

有名な会社で「アイホン株式会社」が「アイホン」の商標権を「電話機」について持っています。つまり、アップルがiPhoneを「アイホン」と呼んでしまうと、商標権侵害になってしまうのです。では「アイフォーン」ならよいか、というと、これも侵害になる可能性が高いと私は考えます。

商標権は類似範囲にも及びます。「アイホン」と「アイフォーン」は類似するので、アップル社が「アイフォーン」と発音しても、商標権侵害になることに変わりはありません。因みに商標権の類似範囲というのは、(1)商品が同一で標章(語句やロゴ、マーク等)が類似の場合(2)商品が類似で標章(語句やロゴ、マーク等)が同一の場合(3)商品が類似で標章(語句やロゴ、マーク等)が類似の場合を言います。なお、商標権というのは、商品と標章との関係で決まります。

ともかく、アップル社が携帯電話機に「アイフォーン」という商標を使った場合でも、「アイホン株式会社」が電話機について持っている「アイホン」の商標権を侵害するおそれが高いわけです。にもかかわらず、アップル社がiPhoneを「アイフォーン」と呼ぶ理由は何故でしょう。これは推測ですが、「アップル社とアイホン社との間で何らかの契約がなされている」と私が思ったところで目覚めました。一瞬の夢物語でした。