将棋の戦い方は、攻めの中心である飛車から見て、大きく二つに分けられる。居飛車と振り飛車である。
居飛車とは、飛車を動かさず、2八のところで勝負する戦法である。
これに対し、振り飛車とは、飛車を5筋より向こう側に飛車を振って勝負する戦法である。真ん中に振るのが中飛車、6筋に振るのが四間飛車、7筋に振るのが三間飛車である。
私は振り飛車党である。それもほとんどが四間飛車である。
なぜ、四間飛車という戦法を選ぶのか。
答えは明快である。簡単、シンプルかつ強いからである。
将棋は、ある程度強い人に勝とうと思ったら、定跡を覚えなくてはならない。もし、居飛車で戦おうと思ったら、気が遠くなるほどの定跡を覚えなくてはならない。
それに対して、四間飛車は左側には攻めゴマをならべ、右側は守りの美濃囲いと、美しくわかりやすい。美濃囲いは早く囲えるのにすごく固い。それゆえ、守りのことはあまり気にせず、攻めゴマのさばきだけを考えておけば、けっこう戦えるのである。
私は、藤井猛九段の名著「四間飛車を指しこなす本1」だけ読んで、戦っているが、かなり強くなった。勝率6割くらいだろうか。
ただ、相振り飛車はあまり定跡化されていないので、なかなか難しい。相振りになると、勝率が低くなってしまう。相振り飛車とは、自分も相手も振り飛車で戦うことである。
あまり強くないので、偉そうなことは言えないが、初心者が早く強くなろうと思ったら、あれこれ戦法を変えず、同じ戦法をとり、その中で少しずつその定跡を覚えていったほうがいいと思う。
同じ戦法ばかりとっていても、違う戦法だって指せるようになる。というのも、私は、四間飛車を指すが、そのライバルといえる「舟囲い棒銀戦法」も指すことができる。それは、対戦するたびに相手の事を真剣に考えるので、逆の立場になっても、指し方がよく見えるのである。そして、いつも四間飛車を指しているので、やられたら嫌なこともよく分かるのである。
ライバルの事を真剣に考えていると、だんだん相手のことがよく分かるようになるというのは、おもしろい。それは人生においても当てはまるのかもしれない。