サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

【アルバムレビュー】SWAN SONG/ART-SCHOOL

2020-05-19 | アルバム感想
                    







1.LILY
2.DRY
3.OUT OF THE BLUE
4.LOVERS
5.SKIRT
6.SWAN SONG






17年前の2003年に出たミニアルバム・・・
そう、これはミニアルバムなんです
なんでわざわざミニアルバムのレビューを書こうと思ったかというと、
毎週フルアルバムのレビューばっかり書いてたんで結構疲れてたんです
だから、今週はサッと聴けるミニアルバムにしよう。。とひらめいたんです
で、好きなミニアルバム、、、という条件で真っ先に浮かんで来たのがこの作品でした。



ねぇ 今日はどうして笑うの?
おかしくも楽しくも無いのに。 (DRY)



冷静に考えると、
凄い事歌ってるな。。って感じますけど、
基本的に人間は孤独で居れば居るほどピュアになれる生き物だと思うんです
逆に言えば集団に交われば交わるほど不純になっていく生き物だとも思うんですね
それは別にひねくれた視点とかではなく、これまで30年弱生きて来た上で純粋に感じた事実であります
で、
この作品っていうのは根底としてそういう・・・
自分と他者との壁というか距離感というかそういうテーマの曲が多いように思います
まあ今風の言い方で言えばコミュ障そのものなミニアルバムって事になるんでしょうけど(笑
この歌詞がとても象徴的だと感じたのは、
結局・・・
人間、
どっかで我慢してるというか、
どっかで無理をしてるというか、
全然合ってないのにピントを合わす事は苦痛なはずなのに、
知らず知らずの内に自分を誤魔化す事が「当たり前」になっちゃってるんです
だからこそ、上記の歌詞及びこの作品全体の歌詞って本当の意味合いで"等身大”な気がするんですよね
ま、その等身大っていうのは多分全然ポピュラリティの無い等身大だとは思いますけど(笑
でも結構わがままでしょう、と変に自制しちゃって本音殺す人って多いので。
そういう意味合いではこの作品で歌われてる事も(ある意味)ポピュラー・・・だとは思います
だからこそ、今でも根強いファンが居るんでしょうしね。


同時に、
叶わなかった想い・・・みたいなのも強く歌われていて、
そういう意味合いでも実は統一感の強い作品ではあります
一曲目の「LILY」からエモーショナルなサビが炸裂、
「DRY」は物憂げな雰囲気もまた心地良い精神的な苦悩を歌った一曲で沁みる
「OUT OF THE BLUE」は個人的にメロディが大好きで日本語の乗せ方がまた好みな一曲
この曲の歌詞はかなり自分の心境そのもので愕然としてる姿の切り取り方も上手いと思う
どうしようもなく空しかったり淋しかったりする時に聴くとグッと来ますね、
(実は最近よくこの曲の歌詞が頭をぐるぐる回っていた)「開いた口がふさがらない」って歌詞が大好きです。。
ゆったりとしたスロウテンポなメロディラインがまた抒情的で素晴らしい「LOVERS」、
叶わなかった想いを歌っていると思われる「SKIRT」は正直今聴くとヤバいですね
リアルタイムより人生経験が増してる分ガンガン響いてきます
それと同時に、
辛いのは皆同じ~っていう常套句に対するアンチテーゼにもなってる気がしてそこも好きです
いや、本当はそうじゃないかもしれませんが、個人的な聴こえ方、、、という所ですね
それくらい誰にでもある経験、それでも・・・っていう。

そして、
何よりこの作品の最後を飾る泥臭くも優しい希望のアンセム「SWAN SONG」が実に素晴らしい、
はっきり言ってこのバンドのファンでなくとも好きになるんじゃないか、ってくらいの名曲
個人的にはこの曲で紅白イケるな。。と冗談抜きで思います
メロディも美しければ、
アレンジも神々しくて、
でも、
一番聴いてて感動するのは歌詞の内容がロックンロールそのもの、って事ですね
それまでの曲は物憂げな感情を痛々しく強く曲にすることでカタルシスを生む楽曲群だったんですが、
この曲は、そういう楽曲らの後だからこそ、「それでも」何かを夢見てしまう、信じてしまう、
そういう人間の愚かしくも美しくて健気な感情が見事に曲になってると思うんです
決して物凄い派手な曲って訳でもない(ポップではあると思う)。
だけど、
ある意味どんな曲よりもキラキラしていて眩しくも思える、
それはこの曲に至るまでの丁寧な積み重ねも加味しての感動だと思う・・・と書くと、
やはりミニアルバムとはいえ、フルアルバムにも匹敵するレベルの完成度と聴き応えのある作品と感じますね
また、
この曲は、
そういう自分を格好悪いって思ってるのがまた良くて、
変に酔ったりもしてないというか、
情けないのは承知の上で、
足掻いていたい。。
そういう曲で、
それってロックバンドとして最高に「正しい」形だって感じてしまうんです
これほどまでに完璧なアンセムは早々あるようでないので、結構入り口としてもいいんじゃないでしょうか
歌詞を引用しようと思ったけど、ちょっと野暮な気もするんで、興味があれば直接聴いて欲しいですね。







そう、
なんで毎週欠かさず音楽のレビュー書くようになったかと言うと、
今って音楽が(自分が生きて来た中で)最も軽んじられて最もナメられてる時代だって感じてるんです
本当はかつて音楽レビュアーだったから・・・っていう矜持がきっかけではありましたが、
人の心に豊かな作用をもたらすものなんですよ。とまた石を投げこんで行きたいです。
・・・という事を、
この作品を聴いてて強く感じたのです。関係ないかもしんないけど(笑
異性への憧憬が強い人は「SKIRT」もめっちゃおススメです。