サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

新・syrup16g全曲レビューその11「Share the light」

2021-07-04 | 新・syrup16g全曲レビュー
                    







「何も知らなかった頃が幸せだった」なんて
うそぶくのが精一杯だ 後ろ暗い防空壕








この曲は、
リリース当時から、
サビの英語詞が「謝罪」に聴こえる。ってよく言われてたんですけども、
自分もそう感じます笑
一応、
文面通りに受け取ろうとしてた時期もあったんですが、
長年聴く度にやっぱ謝罪なんじゃないか・・・と考えがちょっと変わって来ましたね。

でもこの曲って凄く切実な曲ですよ。
よくよく歌詞カードを読んでみると、
「sheer the light」に表記が変わってる部分があります
これは、
直訳すると光の方向を変える~みたいな事だと思うんですけど、
謝罪と歌っておきながら暗に「さよなら。」って意味合いも含んでると感じるんですよね
申し訳なさを感じつつ、
より・・・
自分が自分で居られる場所を模索する。っていう、
でもそれも裏切りとかではなくどうしようもない判断だと思うんです
だってこの曲全体から漂ってる雰囲気が張り詰めている上に精神的に追い込まれてる気がしますもんね

しかし、
逆に言えば、
何かを諦めて、
新しい方向に切り替えるっていうのは、
ある意味ポジティブですよね・・・
そう云えば、
ライブでも中畑さんの激しいドラミング含めアグレッシブな姿勢が伝わって来る気がする
もっと言えば自分を正当化せずストレートに「謝罪」というのも男らしいですよね
ま、
俺の解釈が合ってたらの話ですが(爆
でも例え解釈が間違ってても正直楽曲を自費で購入してる時点でその曲はその人のもんだから。
食べ物を自分の好みで食べても許されるように楽曲も好きなように食えばいいと思うな。



このシロップの全曲レビューっていうのは、
楽曲をあらかじめ決めてる訳じゃなく、
その時の気分で選んでるんですよ
なので、
今の自分の気分がこの歌詞だった~という話なんですけど、
多分自分の存在に対してある程度の後ろめたさみたいなものがあるんでしょうね
それでも、
それまでのやり方をずっと続けてる事自体が精神的な苦しみに繋がる事も多々あるんで。
そういう意味では色々な意味でどうしようもない心境を歌ってる曲ですけど、
しかしそのどうしようもなさって切実なもんだよな、とも感じます
syrup16gって切実なバンドなんですよ。マジで。



新・syrup16g全曲レビューその10「Missing」

2020-05-04 | 新・syrup16g全曲レビュー
                      








「Missing」はある意味ポジティブな曲だと思う。
「どの辺が?」と問われたらちょっと答えづらくはあるんですけど(笑
ただ・・・
核となっているのは「泣きながら捨てに行こう。」って部分だと思います
想像してみて欲しいんですけど、
例えば、
履き潰して穴が空いたような靴を、
いくら思い入れがあるからといってそのまま履き続けていても
そこに「未来」はないですし、多少名残惜しくても潔く捨てた方がいいじゃないですか
一度亀裂が入ったり「届かないな。」と感じたものに未練がましくifを期待するより、
新しい自分になって新しい可能性を模索した方が良い・・・
この曲はそういう風に思えるんです
また、
泣きながら捨てに行こう。ってフレーズ自体も良いですよね
ただ捨てるんじゃなく、泣きながら捨てに行く~っていうのがsyrup16gらしいですし、
一見鬱でネガティブに思えるかもしれませんが、考え方によってはポジティブな行為でもある
何かに固執し過ぎたり未練がましく追い続けても正直いいことってあんまり無いですから、
そういう意味合いでは自分「だけ」の大切な想いに対するレクイエムのような曲・・・と言っても良いでしょう。



ただの大丈夫な人でいいじゃない
そうでしょう
コンディション最悪の時もそばに
居てくれる
ただの最悪の人でいいじゃない




しっとりしたリフ、
(実は)しっかりとしたメロディラインも秀逸な曲ですが、
この曲が伝えたい事って結構分かりにくいようで分かりやすいものだと思う
理想とか、
願望とか、
イメージする「自分」には程遠い「何か」に自分はなってしまったけれど、
でもよくよく考えてみればそうそう悪いことばっかでもないし、
希望するハードルが高いからこそ妙な苦しみが生まれる
そういう“十字架”から自分自身で自分自身を解放してあげて、
今ある幸福だったり今ある素敵を自分自身でもっと気付いたり受け入れたりしても良いんじゃない?っていう・・・
刺激的なフレーズとは裏腹に凄く建設的なメッセージ・ソングにも自分は感じたりもします
それは妥協とか諦めとかではない、
どんなにあなたが自分の事を最悪だと感じてようが見方を変えればきっと単なる「良い人」に過ぎなくて、
だとしたら、そのまんまの自分を受け入れて進めばいいんじゃない?っていう・・・
ある種の「解放」を歌った曲にも思えて隠れた名曲だと個人的には思ってます。
どうしても再開後の曲はピーク時の曲と比べてあんま語られませんが、
個人的には劣らないくらい素敵な事を歌ってる、、、と感じる
この曲もそう感じる中の一曲、であります。



新・syrup16g全曲レビューその9「開けられずじまいの心の窓から」

2020-02-19 | 新・syrup16g全曲レビュー
                          







I was longing for mad kindness
ただどうしようもない格子で
I was longing for mind's holiday
窓越しの






この曲のレビューは、書きたいような、(ある意味)書きたくないような・・・笑
初期の楽曲で「(I can't)change the world」って曲があるんですけど、
その曲の中で「広い普通の心をくれないか」と歌ってるんですね
で、
この曲はあの曲に通じるものがある、、、と個人的に感じてるんです

「ただどうしようもない格子」っていうのは、自分と他者の間にある変えられない事実、
確かな断絶を意味すると思ってるんです。分かり合うとか、歩み寄るとか、口で言うのは簡単ですよ?
でも、どうしても許容出来ない事だったり、それを認めると自分も濡れてしまう事って絶対にあるから。
分かり合えるのも、歩み寄れるのも、正直努力でどーこー出来るもんじゃなく、
ぶっちゃけ“才能”でしかない、と自分ははっきりと思ってます
その許容量が多い人間こそ、
「広い普通の心」を持った人間であって、
だからこそそうなれない自分を「ただどうしようもない格子」ってワードで飾っていると思うんです
つまり、言い方を変えてるだけで歌ってる事はほぼほぼ同じだと感じてるんですよ
その表現技法が違うだけで、ここまで違う曲になるのか・・・っていうのが面白いですし、
それと同時にsyrup16gの歌っている楽曲の不変も感じられる名曲に仕上がってる、と思いますね。


ただ、
先述の曲が切実っていうか、それなりに湿っぽいのに対して、
この曲は割と達観してるというか、悟ってるというか、
「ちゃんと諦めてる」そんな気がしてます
色々雑踏を進んだ末の風景というか、
それに関して詰まってしまったからこそ、「mind's holiday」・・・直訳で心の休日、を望んでいる
要するに「もう疲れたよ。」っていうストレートな心情吐露を感じさせる曲でもあるんですよね。
それは一見悲しい事かも、淋しい事もかもしれませんけど、
同時にある種の希望でもあるんですよね
サウンドもメロディも、
ディープってよりかは割とサラッと聴ける乾いた音像に仕上がってるので、
余計にそう感じるんだと分析しています だから、テーマとしては過去の曲と似通ってても、聴き応えはかなり違う。
その辺りに五十嵐さんの才能の健在っぷりを感じる達観の良い部分を直に伝えているお気に入りの一曲です。

冒頭で、
書きたくないような・・・と記述したのは、
正に最近この曲のような気分が(ずっと)続いていたからです笑
近年は自分の雑魚メンタルをあんまり見せびらかしたい気持ちになれなくなって来てて・・・
でも、まあ、別に嘘ついても仕方ないので、素直に共感を形にしてみました。
冒頭の4フレーズに関しては本当に自分の近況そのまんまです。
だから素敵で大好きな一曲なんです。



新・syrup16g全曲レビューその8「Murder you know」

2019-12-15 | 新・syrup16g全曲レビュー
                              







未開封のままで封じ込めた
可愛げの無い本能と
言い訳を飼い慣らしてきた









冒頭の「ザ・シロップ」という雰囲気と、
重厚感のあるギターの音色でいかにも“syrup16gっぽい空気”を作り出すことに成功している曲だと思う
その上で、五十嵐節とも言える独特のメロディラインの重なりが堪らない往年のシロップらしい音像、というイメージ
この曲が入っている「darc」というアルバム自体がそういう方向性だったと思うので、
その中の粒の一つ・・・と考えると未だにそのセンスが衰えてない事を証明している一曲とも言えるかもしれない。


歌詞に関しては、
正直かなり新しい部類に入ると思う
単刀直入に遠慮無しに書いてしまうと「いつまでネガティブやってんの?」って事なんですよね
もしくはいつまで自分に言い訳して同じこと何回も言ってんの?という歌詞だと思う
それは、後ろ向きな感情や憂鬱な気持ちを曝け出して来たシロップにしては思い切った歌詞だと思うんですが、
ただ、別にシロップ、、、というか五十嵐さん自身がそこに甘えたかった訳ではなく、
必死に足掻いているところを曝け出したかっただけ、とも言えるので
そういう意味ではこういうテーマの曲があっても不思議ではないし、
タイトル通り「まだ言うの?」っていう問い掛け自体を曲にしたのは個人的には全く違和感は無いと思う

それに加えて、
この曲は「案外大丈夫だった。」って事も歌にしていて、
それもまたリアルっちゃあリアルな心情でもあるんですよね
要するに、
今までのシロップらしさとは真逆の事を歌っている曲でもあるんですけど、
別にいっつも沈んでグチグチ言ってるだけが現実的な歌という訳でもなく、
今感じてる事をきっちり歌にする、、、という方向性に於いては限りなくリアルな歌詞になっているとも云える
それと同時に、いつまでも言い訳したりネガティブな自分に酔っている手前に対しての怒り。。というか、
自己批判的な要素もあったりして個人的には色々な意味合いでユニークな詞になってると言えます

言うなれば、
いつまでも同じところをぐるぐる回っている、
或いは成長もしないまま「出来ない自分」に甘えている、
弱い自分を振りかざしている現状に対するアンチテーゼにも近い歌詞になっていて、
その辺結構年食ったからこその歌詞かもなー、って思うとそういう面でも興味深い一曲です
シロップの楽曲の中では、割とポジティブ・・・うん、ちょっとは前向きな歌詞にもなってると思うので、
こういう曲がしっかりと評価されていけばまたシロップ自体もどんどん面白くなるんじゃないか、と
そういう意味では結構尖っている楽曲だとも思います、実は。







個人的に、
最後の「これじゃない感」って歌詞も意味深で好きですね
これじゃイカン、って言ってる風にも聞こえるし、
何に対してっていう主語がない分いくらでも深読み出来るのも自由度が高くて良いと思います
それはもう聴く人次第で意味が変わって行くんでしょうね、きっと。



新・syrup16g全曲レビューその7「Rookie Yankee」

2019-09-04 | 新・syrup16g全曲レビュー
                            








本当の事ばかり言う人を信じない







「Rookie Yankee」は、タイトルも不思議ですが、
曲調もエレキ弾き語りのような独特の雰囲気をまとった曲で、
五十嵐隆のソロみたいな感覚もあるくらいある意味尖ってる曲なんですけど、
でもその分彼の色濃い部分が如実に作品に表れている隠れた名曲・・・と言える楽曲だと(個人的には)思います
この曲にはAメロBメロサビ~みたいな概念もなくて大体一つのメロディが延々と歌われている印象で、
かなり異質というか、一応ちょっとメロが変わる部分もあるんですけど、
大体一定なのでその意味でも人を選びそうですが、
その分強い想い、、、というか五十嵐の魂が伝わってくる感覚もご多分にあるんじゃないでしょうか。


冒頭から、「本当の事ばかり言う人を信じない」という強烈なメッセージが歌われてるのがイイですね
他人と話していて、今自分が欲しい言葉が正論とかではない時とかってあるじゃないですか?
それと、
「本当の事」に押しつぶされて自分の大切な気持ちが掻き消されてしまう事だって多々ある
何よりも、「本当」だけが人を救う訳じゃない、正論に囚われる事だけが全てではない・・・
そんな風にも思うので、
ある意味一言目で全部を表現してしまった・・・かのような感覚すらある楽曲です
その後も、
「“使われるな 馬鹿を騙せ”」
「別行動に気付かず 実のある修学旅行」
「彼の聖人君子だって痛いヤンキー」
など、
真理を突くような言葉が淡々と、でも熱を持って並べられていくのが聴いてて色々と堪らない楽曲です
勿論そこまで分かりやすい伝え方ではないので、難解と捉えられても仕方ないですけど、
でもその分分かる人にはよく分かるというか、、、ある種、音楽なんて元来そういうもの。だとも思いますね。
正しくはない、
だけど、
正しくない自分を肯定出来たら、
むしろ、
色々なものがプラスに変わっていくような・・・
そういう気さえしているんです。そういう曲だって思ってます。




死ぬのだ
死ぬまで 全部搾って
人の気持ちも 固有の気持ちも
搾りって 全部で死のう




また、最後のこの部分が個人的に大好きです。
別に聴き手を応援してるわけじゃないのに、
不思議と励まされるような・・・
自分も、
最後まで全部出し切って、
出し切るまでは死ねないと思えるような、
間接的に聴き手を奮い立たせる歌詞に仕上がっているのが自分はとても好きです
自分も、ぶっ壊れるまでやる、ボロ切れになるまで貫き通す、、、のが美学だったりするので、
そういう意味合いではなんていうんでしょう・・・自分の思想とも合うなあ、と
そんな風にも思えるのが何よりも素敵だと思える異質だけど実のある名曲
一度だけライブでも聴いたんですが、
思ってた以上にライブ映えしていてとても気持ち良かった記憶があります
知名度や人気的にもうあまり演奏される事も無さそうですが、それでも自分はある種、
指標としているくらいに歌詞に確かなメッセージ性があって大好きな一曲ですね。



新・syrup16g全曲レビューその6「透明な日」

2019-08-18 | 新・syrup16g全曲レビュー
                            









君に勝てることは
何ひとつ無い
他には何も









人生は勝ち負けでは決してないんですけど・・・
ただ、他人と自分を比べて運だったりセンスだったりを持ち得ていないと、
その時点で多数派に入れなくて「負け」って感覚があって・・・
なんか自分だけ「持ってない」という感覚が残るじゃないですか
別に誰かに勝つ為に生きてる訳じゃないけど、
どうしても「持っていない」という感覚は拭いされなくて、
妙な劣等感「だけ」が残ってしまう、、、そんな人にはうってつけの曲なんじゃないですかね。

他人と話していても、
やっぱりマジョリティの価値観に加われない自分を見つけたり、
同じことをしていてもなんだか報われない感覚があったり・・・
気が付けば自分の「通用しなさ」に途方に暮れてしまう
だから、
この曲の歌詞のストレートに自身の負けを認めて底に落ちていく描写によく感情移入してしまう
正直に言えば、今日もうこの曲の気分だったのでこのレビューを書いている節もありますが・・・。

でも、
こうやって自分が悩んでたり傷付いたりしている感情だって、
他人から言わせればなんか別に気にすることじゃないとか正論で返されたりするじゃないですか
そういう未熟で幼稚な感情を抱えた時点でやっぱり「負け」って気がするんですよね
あなたに自分の気持ちが分かるだなんて決して思って欲しくはない
ただ、
そう感じてしまった時点で「君に勝てることは何ひとつ無い」なんですよ
圧倒的で、かつ、現実的な、逃れられない劣等感の歌・・・
自分ではどうしても到達出来ない場所があって、
そこに辿り着いて笑ってる人々を眺めて悔しがっている愚か者の歌。
だからこそ、胸に強く響く感覚が強烈な完全なる負け犬の曲。
この曲はライブだと結構演奏しているイメージがあるし、
五十嵐さん的にもお気に入りなのかもしれませんね
最新のアンセムの一つ、っていうか・・・
それでもってある意味聴き手そのまんまな楽曲でもある(と、思う)。





神に負けることは
何ひとつ無い
他には何も





しかし、この曲の肝はこっちにもあると思います
運命から見放されていても、あらかじめ決められたセンスに限界があっても、
最後まで夢見て足掻くことは出来る 希望だったり楽しみを抱き続ける事は出来る・・・
つまりはただのメンヘラソングに終わっていない“強さ”がこの曲にはあります
頑張っても空回ってしまう気がしていても、
頑張っても報われないような気がしていても、
神に負けることは永遠にない
懸命に生き続けている限り、
死なない限り、
永遠に神「には」勝ち続ける・・・という、そう考えるとポジティブな気さえして来ます

「君」には負けるけど、「神」には負けない。応援歌のような分かりやすさはないけれど、
それでも普通の応援歌に負けないくらいに切実な想いを感じさせる、
そういう序盤の儚さにも劣らない芯を感じれる曲でもあると言える
何も(努力の跡が)返って来ない、
その空しさを歌いつつ、
「神」の言う通りにはならない。という五十嵐さんなりの「抵抗」を感じる再始動後でも指折りの名曲でしょう
淋しさに泣くも良し、通じなさに途方にくれるもよし、その先の「それでも」という想いに浸るもよし、、、
色々な感情が一曲の中に詰まっていて、最近のライブでも割と歌われるのもよく分かるなあ、と。
この曲もまた五十嵐さんのパーソナルな心情が素直に曲になってて大好きな一曲ですね。



新・syrup16g全曲レビューその5「冴えないコード」

2019-08-10 | 新・syrup16g全曲レビュー
                              








何処か違うけど
そこで何か言う術を持たないし もう
何処か違うけど
そこで何か言う術を 捨てよう








こんなこと書くのもアレですけど、
正直他人と話してて繋がってて「なんか違う」「そうじゃない」「自分とは違うな。」ってよく思うじゃないですか?
思わないですか?まあ自分はそんなんばっかだよ、っていう話なんですけど
そういう・・・“居心地の悪い違和感”を無視出来る人とそうじゃない人がいて、、、
いや、もっと言えばそれを噛み砕いたり妥協出来るセンスが生き抜く為には必要になってくると思うんです
でも、そういうセンスがなくて純粋に「嫌だな。」「退屈だな。」って気持ちが勝(まさ)ってしまうと・・・
この曲のような状態になってしまう、という事なんですよね。

その、「何かが違う」、、、って感覚って結局どうしようもなく個人的で、ある意味わがままなもんじゃないですか?
だからこそ、この曲の歌詞は「言う術を持たない」「捨てよう」っていう言葉に続く訳なんですけど、
正直な話その先に待っているのはとてもじゃないけど絶対幸福な未来なんかじゃない
もっと孤独で、もっと暗くて、もっとどう仕様もない世界だと思うんですけど、
だからといって、
「何かが違う」とか感じた自分の感覚って正直間違ってなくてそれはそれで自分に素直になった感情の結果だったりするから
余計に厄介というか、やるせないというか・・・そういう残念な違和感すら消化して楽しめれば理想なんですけど、
現実はただただ寂しくて疎外感を受けてしまうだけなんで、、、そういう人間には思い切り響く楽曲、
攻撃的なギターの音色、アンニュイな雰囲気も含めて個人的には大好きな一曲です。


言う術を持たない、っていうのは、言ったら自分が嫌な人間になってしまうんですよね
だけど、その・・・正論とかそういうもんだけで人間って出来てる訳じゃないですし、
どうしても心の中では煮え切らない感情がどんどん堪っていって、
それがストレスとか不満になってしまうのかもしれないんですけど、
だからこその「捨てよう。」だと思うと、
それって結構切なかったりもするんですが、
でも結局は人は一人、
あの世に行くときも絶対に一人ですから、
そういう意味ではある種正しく「悟っている」そんな曲だと断言出来るかもしれません。
そしてそれは、何よりも強くて忍耐的で美しい想いだったりするのかもしれません。淋しいですけどね。

この曲が素晴らしいのは、そういうある種言いづらい・・・っていうか
他人が中々言葉に曲にしない感情をきれいに音楽にしていて、
それが逆に普遍的に感じる。。というセンスなんですよ
そしてそれはとってもシロップらしいセンスに思える
最後の懐かしい頃、ってフレーズも、
一切何も考えてなかった優しく豊かな時代を想ってる様子を描いているようで、
そういうトコも含めて個人的にかなりお気に入りだと思える楽曲の一つです。



新・syrup16g全曲レビューその4「4月のシャイボーイ」

2019-04-29 | 新・syrup16g全曲レビュー
                          
                         「delaidback」収録。







見えぬ同調圧と 焦燥 耐久戦
なけなしの咆哮 交渉 玉砕で







この曲に関しては、
聴いてると複雑な感情が込み上げてくるんですが・・・
ええと、取り敢えず個人的に去年一番聴いたシロップの楽曲でした
理由は色々ありますが、ナチュラルに絶望してる心境とこの曲のフラットに絶望してる感覚、、、が良く合ったんですよね
決して大げさではなく、そのまんま報われないなー、っていう、そういう感情をきれいに切り取った楽曲に感じます
音質もカラっと乾いたアレンジでなんとなく90年代のオルタナっぽさを感じさせるものになっていて素敵です。

メロディは、物凄くあっさりしているんですけど、
逆にそのスカスカな感じが斬新で面白い楽曲だと言えます
本当につまらなさそうに「なんもいいことがねえ」って連呼するけだるさが個人的には大好きです。



歌詞は・・・そうですね
人間の性質、生き方、美意識ってやっぱり最大公約数的なものがあって、
そこに入れるかどうか、っていうのは正直努力ではどうにもならないものなんですよ
そこで、無理にすり合わせてしまってもいずれズレが生じて痛みが止まらなくなる
要するに、「そこ」から外れてしまったはみだし者の歌ですよね
五十嵐さんももう40を超えて良いご年齢だと思いますけど、
未だに、
こういう不器用で大人になり切れない複雑な心境を歌っているあたり信頼出来る。。というか、
それが良いことなのかは分からないですが「変わらない良さ」を感じられますね
結局、
頑張って何かを努力したとしても、
自分なりに誠実に振る舞ったつもりであっても、
それが上手く行く確率なんて正直運でしかないですから、
そういう「現実」に対してこういう風にストレートに嘆いてくれる楽曲って必要だと思うんです
そういう意味合いで、去年何度も聴いていて気持ち助けられた一曲だったのでした。

で、
個人的には冒頭のフレーズがやっぱり大好きです
群れに紛れれば紛れた分だけ失うものって確実にあって、
それが捨て切れない「自分らしさ」だったりするとやっぱり悲惨だな~、って思う
何をやっても空砲に終わってしまう感覚・・・を覚えるような方には是非お勧めの一曲です
結構カラッとしててさっぱりしたメロディだけど、根底にはどうしようもない切なさが宿っている、そんなナンバーです。



新・syrup16g全曲レビューその3「ヒーローショー」

2018-11-16 | 新・syrup16g全曲レビュー









一生こんなのは不安です
意識は相当 不衛生なモード
神経症で交遊 増えねえ
人格矯正 手遅れのままでいいの









この曲はメロディ、アレンジだけ取ってみれば物凄く軽快でポップな曲ですけど、
歴代のシロップの中でも随一に聴きやすい曲ですけど、
歌詞の内容は逆にかなりシリアスなものになっています、
現代版のホノルルロック・・・ですかね。


・・・ま、
みんなに迎合しよう、
価値観を合わせよう・・・って
そんな風に考えてもそこには限界があるわな
そもそも、
他人に合わせて自分の形を上手く矯正しよう~って思ってる時点で落伍者そのものなんですよね
まあ一概に器用だから~、要領が良いから~という理由で上手く泳げる方々も居ますけど、
「そうではない」誰かに向けた、孤独なヒーローに向けた明るくも物悲しいテーマソング・・・という印象ですね
自分の中では。


でもこの曲は、
基本的にはかなりポップなのでロック好きでなくとも聴きやすくはあるんですよね
何かのテーマソングにしてもいいくらいキャッチーな分、
達観しつつもがいてる作中観が逆に胸に来て切ない気分になってしまう、
ある意味今までのシロップにはなかった類の聴かせ方をしている楽曲。。だと思っています
何かを我慢しながら人格矯正にいそしんでる様は正にヒーローに成れなかった少年そのものの憧憬でしょう。
そんな音が軽やかに、そしてシビアに鳴っている最新のペーソス・アンセム。
本当は誰もが「まともな人」になりたい、ただそれだけなんです。







歌詞の中では
「ほんとの悪党なんて もしかしたらいねえの」って歌われてますが、
それもまた真実なんでしょうね
そういう部分もまた好みな一曲です。




新・syrup16g全曲レビューその2「Thank you」

2018-11-03 | 新・syrup16g全曲レビュー










諦めない僕に Thank youを
諦めの悪い 青春を









前回ああいう曲を取り上げておいて何ですけど、
でも実際「はぁ~」って溜息付きながら「しょうがねえなあ。」って諦め悪く進むしかないじゃないですか?笑
この曲はそういう曲ですよね 前が見えなくても、全てに絶望していても何となく生きるしかない、っていう。


ただそれを、「諦めんな」とか「負けんな」って上から強く言うのではなく、
自分が「しょうがねえなあ。」って諦めない姿勢を見せる事で聴き手に伝えている・・・というのが素敵なところです
もう何もかもダメだと思っていても、通じないと感じてたとしても、それでも仕方なく生きて前に進んで行く
そんな自分に呆れつつもどこかで感謝している・・・という楽曲のテーマが兎に角素敵な一曲です。


この曲は、誰かに呆れられたり嫌われたりするのも、
そんな自分をあんまり好きじゃないのも、
それはそれである意味「事実」であり
逃られない「現実」だと割り切っているのがまた個人的に好きですね
結局、起こってしまった事や元来の性格なんて変えられないんだから、
もうその上でさっさと切り替えて進むしかない
その結果、受け入れられなくてもそれもまた「しょうがない」

そういう痛みだとか迷いを背負って散々擦り減りつつも、
諦めが悪く葛藤しながらも「何か」を期待して足掻く姿・・・はそれはそれで美しいと思うのです
いつか、本当の意味で何かが報われた、、、と思えた時に、この曲を是非聴きたいですし、
苦しいけど、それでもまだ捨て切れない感情が残っている時にふと思い出したり口ずさむと気持ち救われる一曲・・・だと思います
個人的には、活動再開後のシロップの中でも随一に大好きな楽曲の一つ。。です。本当にまだ生きてる自分に感謝だわ。







ちなみに、
ちょっと懐かしい、ノスタルジックさ溢れるメロディやアレンジもまた好みです
五十嵐さんが青春時代聴いてたであろう洋楽のエッセンスが滲んでてその辺も聴きどころですね
自分的にはライブのアンセムになって欲しいんですけど、ほぼほぼ演奏しないのが唯一残念です笑
未だに五十嵐さんの作る人懐っこいメロディが好きですね。