サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

【アルバムレビュー】JUNKLIFE/長澤知之

2020-05-08 | アルバム感想
                    







1.夢先案内人
2.明日のラストナイト
3.THE ROLE
4.JUNKLIFE
5.EXISTAR
6.マンドラゴラの花
7.僕らの輝き
8.俺はグビ
9.MEDAMAYAKI
10.はぐれ雲 けもの道 ひとり旅
11.とても何気ない言葉
12.死神コール
13.P.S.S.O.S
14.三日月の誓い
15.回送







今から9年前、
2011年に出たアルバム。
数か月前から毎週最低1アルバムはレビューするように努めてますけど、
先週に比べても(10年代なので)比較的新しい方・・・のアルバムだと思います
というか、前のブログでリアルタイムでレビュー書いてると思いますけどね
じゃあなぜ一度書いた作品の感想をもう一度書くのか、、、って言われれば、
「書きたくなったから。」
うん、
それだけですね(笑
あと、とはいえもう9年前だし知らない人も多そうなんで改めて注目したいというのもありましたね。


今日、かなり久々に「神様がいるなら」って曲を聴いてたんですけど、
このアルバムには入ってない曲なんですが「すごくいいな。」と純粋に感じて。
で、
当時大好きで今も名盤と思ってるこのアルバムを聴きたくなった訳ですけど、
長澤知之の音楽の良い所って良くも悪くも素直過ぎるところなんですよ
そこが個人的に大好きで・・・
「悪くも」っていうのは、
それが爆発的セールスに結びつかなかった要因でもあるんじゃないか、という邪側故の記述ですが、
まあでもポピュラリティの有無と個人的な感性に呼応するかどうかって有関係のようでいて無関係なのでね。
自分にとっては正直大切にしている音楽・・・って断言出来るレベルの作品です。




もうこれ以上
これ以上ない情が欲しくってさ
欲しくってさ
妄想上ではとっくにヒーローなんだけど (MEDAMAYAKI)



結構、
日本人って・・・
これは批判とかではないんですけど、
ある程度浮かないように共感を得れるように最大公約数的な言葉や判断を選ぶものだと思うんです
ただ、そうなってくると、そこに「本当の自分」はいるのか?という疑問が出てくる
そういう中で、
長澤知之の紡ぐ歌詞って本当に「今思ってる事をそのまま出しました!」的な・・・
公約数とか始めから無視してるような明け透けな言葉だし遠慮とかも一切ないし、
でも、
やさぐれてるだけじゃなくて「僕らの輝き」みたいなピュアで力強い歌声が響く曲もあったりして、
でもそういうきれいでポジティブな気持ちもそれはそれで彼の本音のように思えるんです
つまり、
綺麗な時も、
醜悪な時も、
包み隠さずそのまんま出しました!みたいな、
そういう公約数ではない本来の意味合いでの「等身大っぷり」が長澤さんの音楽の魅力であり、
またそれが彼の音楽の絶対的な個性に成り得てる気がして・・・素敵に感じられるんだと思いますね。





夜は彼女の家でバラエティを観てた
何だか笑うツボが違ってイラッと来ちゃってさ
人間なんてファンタジーだと思ったよ (JUNKLIFE)




人間には「(賞賛されるべき)正しい感情」と「(嫌悪されるべき)正しくない感情」があって、
長澤知之ってその両方を歌ってるように聴いていて感じるんです
ま、このアルバムはどっちかって言えば後者寄りですけど笑
ただ人として、
殊勝な考えを出してる時って意外とその瞬間瞬間だけだったりして、
普段からめちゃくちゃ高尚なことばっか考えてる訳ないじゃないですか(断言してるし笑)。
すっげえ下らない事だって考えるし
すっげえわがままな事だって考えるし
すっげえ自分に都合の良い事だって考える、
でも「そこ」って意外と・・・意外と、でもないですかね?
きれいにスポイルされがちなんですよね 
でも、彼は“そういう感情”を(少なくとも今作では)ピックアップしていて、
そこが人間味溢れていて聴いていて素敵だと感じるし日々のうっぷんが晴らされていく、
ストレスがどんどん減っていく感触もあったりするんですよね笑
それは感情を作用させるアイテムとして聴いてる、ってことではなく、
ごくごく自然に自分の感情とシンクロして聴いてるとスッキリする感覚があるんです
で、先述の通り純粋に美しい感情を歌に乗せた曲もあったりするんで、
ネガポジイコール人間らしさと仮定するならばシンガーソングライターとしては破格なくらい人間味溢れていて素晴らしい
その上、ちゃんと練り込まれたメロディやダイナミックなアレンジ、ちゃんと上手い歌・・・など
歌詞先行でもなくフィジカル的な部分でも最高だったりするので好きな人はホント好きになると思う
嘘のない歌・・・って書くと、
凄く安っぽいというか、
じゃあ他は嘘だらけですか?と疑問もわくかも、ですけど(笑
でも、そういう不安を度外視するならば、聴いていてふとそういう言葉が浮かんでくる、、、
というのもまた偽りない自分自身の確かな本音ではあります。いち歌手の魂が宿っている渾身の名盤ですね。





貴方の事を延々と書いても貴方に届きはしない
ダイアリー ダイアリー 僕の妄想的ポスト (P.S.S.O.S)




好きな曲はこれまた迷う感じ・・・
具体的に書くと「JUNKLIFE」と「MEDAMAYAKI」どっちを赤字にするかでめっちゃ悩みました
「MEDAMAYAKI」は本作でも唯一パンキッシュな楽曲でそれだけでも貴重なんですけどね
アグレッシブな弾き語り「俺はグビ」も聴いてて何度も頷いてしまう感傷的な歌詞だし、
当てつけのような「マンドラゴラの花」も聴いててかなりスッキリする(笑
シンプルに良い曲である「明日のラストナイト」「回送」もあったり、
オルタナティブで情念を感じる「死神コール」も壮絶、
喧噪とかストレスから脱却してのんびりと~というテーマの「はぐれ雲 けもの道 ひとり旅」もまた美メロな名曲、
皮肉たっぷりのロックンロール「THE ROLE」もまた悲哀もありつつ痛快で痺れるナンバー、
デビュー曲「僕らの輝き」は希望を力強く歌うこれはこれで普遍的な名曲、
メロディの芯の強さも心地良い「三日月の誓い」もまた違った角度からの名アンセムですよね
・・・と、最初っから最後まで粒ぞろいの傑作ですので、
全15曲という曲数の割には飽きずに最後まで聴けると思う
擦れた感じの曲とピュアな感じの曲が混在してるのもまた聴きやすさに貢献してるんでしょうね。


その中でも、
敢えてお気に入りを上げるとしたら、
やはりベタかもしれませんが全部リードトラック(であった)3曲ですかね
「JUNKLIFE」は美談とかとは完全に距離を置いて個としての素直な心情を歌ってるのが色々な意味で凄い
それは一見すると殊勝でない考えを歌ってるかもしれませんが確かな本音でもあると自分は思う
一番好きな曲は「EXISTAR」と「P.S.S.O.S」かで相当悩みますね
でも正直そこは曖昧にしときたいですね(笑
前者は、
例え嫌われても自分らしさを貫く、という(ある意味)男らしいロックナンバー、
能動的に歌詞の中で孤独を選びひたすら上を見つめるその様はロールモデルにしたいくらい格好良い
後者は、
長澤さんの曲の中では有名な方、、、かな
ひたすらに病んでてダウナーで、でもドラマチックでもあるロッカバラード
タイトルがまた秀逸でギリギリの人間の心情をこれ以上なく上手く表しています
この曲こそ理屈ではない人の本質を描いていて聴いてると気持ち泣けてくる大名曲だと思う。









今回、
歌詞にフォーカスを絞って感想を書きましたが、
楽曲自体の曲調に関してもフォーキーなものから
直球のロックンロール、オルタナ、パンク、アコースティック、
バラード、J-POP(っぽいもの)、ロッカバラード・・・と非常に幅広い
長澤さんの歌も繰り返しになりますが癖はあるもののビブラートがよく効いてて上手いと思う
そういう基礎的な部分のハイレベルさにもまた賞賛の意を表したい豊かな音楽絵巻、です。