読書と追憶

主に読んだ本の備忘録です。

週刊朝日2008.2.1号の記事から

2008-02-05 15:42:25 | 雑誌の感想
 買ったまま放っておいた「週刊朝日 2.1」を昨日読んだところいろいろとおもしろかった。私が買った理由は、激安「日本株」いよいよ買い!オイルマネーが狙う「79銘柄」という見出しに惹かれたからだ。日本株が安値圏にあるとわかったのでオイルマネーの試し買いがちらほらとあるという。
 オイルマネーとは、主にペルシャ湾岸の産油国が原油を輸出して稼いだ資金を指す。原油価格が高水準にとどまっていることから、その規模は年々拡大しているようだ。中東経済に詳しい国際金融情報センターの大工原桂・主任研究員によれば昨年も3千億ドル(約32兆円)弱が中東地域外に投資され、運用総額は2兆ドル(214兆円)を超えたという。
 世界中の株、債権、不動産にとどまらず、アラブ首長国連邦ドバイの政府系投資会社が昨年6月、米高級衣料品店「バーニーズ・ニューヨーク」を買収するなど、最近では運用を多様化させているようだ。

 すごい規模のお金だ。だけど彼らが好んで買う銘柄には特徴があるという。
 日本株にも日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数があるが、昨年12月3日、イスラム国の投資家に向けた新しい指数が登場した。米格付け会社スタンダード&プアーズが開発した「TOPIXシャリア指数」だ。シャリア指数は東証一部の79社で構成されている。主要150社のうち、イスラム法(シャリア)に抵触するアルコール、豚肉、ギャンブル、たばこ、金融、広告、放送、ポルノ、貴金属などを扱わない会社が選ばれた。

 これが「イスラム銘柄」というわけだが、たいへん堅実でよい会社ばかりなのでお金がある人は、オイルマネーが本格的に買いに入る前に買っておくといいと思う。だけど、4、5年くらい前だったら超お買い得の大バーゲンだったのになあと私なんかは思ってしまうし、今は買えないなトホホ・・・


 もう一つおもしろかったのは、見えてきた「小沢一郎の非力と限界」御厨貴・松原隆一郎対談だ。主要7政党の通信簿ということだが、どこもかしこもCとDのオンパレードでぼろくそに言われている。
松原 中曽根康弘元首相は「戦後政治の総決算」という大きなビジョンを持って、良くも悪くもそれまでの政治を変えた。政治家は本来そういうことをやるものでしょう。ところが福田さんにはやりたいことがないから、この国をどうするかという大きな構想がない。格差問題に本気で取り組むなら、国内の格差だけでなく、国際的な流れで生み出される格差への防波堤をどう作るのかということも語るべきですが、そういう言葉は彼の口からは出ない。言葉の「調達力」がないのは政治家にとって致命的ですよ。

御厨 民主党は、小沢一郎代表が辞意表明会見で言ったとおり。政権党の体をなしていません。参院で多数を握ったのに、早くもそれを持て余し、対テロ新法でも衆院で再議決されたら「やられちゃった」と脱力感に包まれている。小沢さん自身も、辞任騒動を起こしたときから、大きな赤ん坊がだだをこねている印象でしかない。とにかくキレるでしょう、あの人。でも、キレて、泣いてというのは、これから政権を取ろうという政治家のやることではない。だから彼がいくら力んでも「あなた本当に首相をやる気あるの?」とみんな思ってしまう。小沢さん自身が民主党の最大のアキレス腱になっている。

ということで、民主党の政局構想力はD、危機管理力D、メッセージ到達度C、争点形成力はB、議会交渉力C、将来期待値C、総合評価がCとなっている。

 他に「社民党は憲法とともに死す自爆テロ集団みたいな状態」(松原)とか、
共産党は最近の経済情勢悪化で結党以来初めてイデオロギーと現実が近づいてきた」(松原)「一刻も早く党名や組織を変えて、自民党と民主党に『おれたちの票、どっちがほしい?』と両天秤にかければいいのにできない。」(御厨)
「国民新党は相変わらずおもしろい。」(松原)「参院選でも綿貫民輔代表と亀井さんが2人で歌うパフォーマンスをした。昔は怖くて、近づきがたいおじさんだったのに、おもしろキャラになっちゃった。国会という長年親しんできた所でいかに楽しく生きるかという世界に入ってしまい、独特の人気がある。」(御厨)「政治家の、悲惨にならない新しい老後の形を見つけました(笑い)。」(松原)
という具合でなんだかブラックユーモアの世界です。最近、アメリカ大統領選挙で大きくクローズアップされているオバマ候補とヒラリー・クリントン候補の指名争いで感心するのは、やっぱり野次馬的おもしろさってことだけではなくて、アメリカというあの大きな国で、いろんな人種、信条、利害関係を抱えていながら、それをなんとか調整するかたちでよりよい方向に国を持っていこうとみんなが真剣に考え、必死で論争しているってところだ。今朝も「ヒラリーのイメージチェンジの歴史」ってやっていたけど、「南部の宗教的保守主義者を慮って女性らしい服装、外見にする」とか「夫の不倫疑惑の際厳しく追及してきたガチガチの保守議員と和解する」とか「中絶賛成の意見表明を控える」とか、すごく戦略的で自律的で意思の強固さを感じる。それに大勢のボランティアが選挙を支える活動をしていて、「このような社会になってほしいから、こういう公約をしている彼(彼女)を応援する」と真剣に考えて周囲に働きかけているのもすごい。これが直接選挙制ってものか。その後で日本の政界のニュースを聞いたりすると「茶番」みたいで嫌気がさしてくる。
総選挙で『福田さんと小沢さんのどっちがいい?』と聞かれても、有権者は『どっちも違うんじゃないの』と思うでしょうが、選挙後の首相指名選挙で、自民、民主両党が互いに手を突っ込み合って、ものすごいバトルになれば、その中からガラッと変わって誰かが出てくるかもしれない。」(御厨)という意見もあるから、もっとこう、なんとかしてほしい。

最新の画像もっと見る