猫のやぶにらみ

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青森市バスによる懲戒解雇処分について

2005-02-01 | 経済・社会
青森市の市営バス運転手二人が懲戒解雇された。理由は採用試験を受けたときに学歴を詐称していたことが発覚したため、である。

<引用開始>
青森市は20日、学歴を「高卒以下」と詐称していた青森市営バスの運転手2人を同日付で懲戒免職処分にすることを決めた。採用試験の受験資格を偽ったことが問題とされているが、厳しすぎる処分には市民からも疑問の声が上がっているようだ。これは青森市・交通部が明らかにしたもの。

青森市営バスでは地元への就職促進のため、市営バスの運転手を含む“技能労務職採用試験”については「高卒以下」を受験資格として定めている。が、今回の懲戒免職処分対象となった43歳と35歳の運転手は共に最終学歴を偽り、それぞれ大卒、短大卒であるにも関わらず、応募時に高卒と偽って筆記試験を受けていた。

2人とも高校を卒業していることは間違いないが、元々が高卒以下を対象とした試験内容であるため、「大卒や短大卒が受けると点数に格差が生じることがあり、正規の受験者との間に格差が生じてしまう」というのが懲戒理由のひとつとなっている。
<引用終わり>出所

これは一体どうしたことか!?学歴良すぎて懲戒解雇ですか!?明らかな「逆差別」ではないのか?

米国では、根強い差別問題解決への一つの取り組みとしてアファーマティブ・アクションということが採用されることがある。例えば、大学の入試に特定のマイノリティ合格者枠を設けて優遇する措置などである。これによって一定のマイノリティの学生数を確保することができる。一方、こうした優遇策がなければ合格できたであろうマジョリティ(白人)受験者が落第するという結果をもたらす、ということで「逆差別」という批判が生じることにもなる。

この米国の例は、そもそも何世代にも渡って、社会的に根付いてしまった人種差別の結果として、人種カテゴリーに応じて、その受験生が属する経済的、学問的環境が明らかに異なっているという現実があることを認めた上での話しだ。一律公平な受験制度が果たして本当に「公正・公平」なスタートラインといえるのかどうか、という議論が根底にある。一見「公正・公平」に見える入試制度が、連綿と続いた差別の結果をそのまま受け入れ、引き継いでいく制度であってはならない、という視点こそが大事なのであった。

さて、青森市バスの件である。バスの運転手として何の問題もなく、勤務態度良好なこの両名が「学歴詐称」を理由に「懲戒解雇」されたのである。「高学歴化が進む中、就職が徐々に難しくなっている『中・高卒』を公的機関に採用することで救済するという」政策目的を踏みにじる行為だというわけであろう。しかしこの措置はやりすぎだと思う。

「中・高卒」の積極採用を図るなら、ただ「学歴不問」としておけばよいではないか。後は「さじ加減」でどうにでもなるでしょうに。それとも再就職の難しい、リストラされた高学歴の中・高年を「公的機関に採用することで救済する」別のプログラムが青森市には用意されているのだろうか??