今日、長年会員となっていた情報処理学会に退会届を出した。
入会したのは1986年だったから22年間も会員だったということになる。
いまの仕事の内容は「研究」とはほど遠く、毎月送られてくる学会誌もほとんど目を通す事もなくなった。会誌に時折、前の職場の仲間の名前を見ることがあり、それを見ては頑張っているんだなと思うこともあったが、それを見るためだけに会費を払うのもばからしいことだ。これから出費も多くなる事だし、この際、退会することにしたのだ。
ネット上でその退会手続きを終えたところで1通のメールが来た。
エルゴソフトからのものでパッケージ事業終了を伝えるものだった。
Macユーザーにはお馴染の会社で日本語入力システムegbridgeやワープロegwordを開発している。これらの開発を終了するというのだ。
http://www.ergo.co.jp/
情報処理学会の退会には何の感慨もなかったが、こちらはショックだった。
特にegbridgeはもう10年以上愛用しているし、かつてアップル社で「ことえり」の開発に関わっている知人もegbridgeは「ことえり」よりも変換速度が速いし、一番使いやすいと言っていた。「ことえり」はOSに添付されている日本語入力システムのことで、彼はライバルを褒めちぎったのだ。アップルの社員がそんなことを言っていいのか、と思ったがそれは確かにその通りなのだった。
変換速度は抜群に高速で、時には自分が本当にキーボードを打っているのか、それとも何者かが勝手に打ち込んでいるのか、と思うくらいに速かったし、変換内容も賢く使い勝手が良かったのだが、いくつか前のバージョンで付いたスマート予測変換機能によって、もはやこのソフトを手放せないようになった。
そして、今春に出版される本の原稿はMac上でegwordを使って書いた。
これまで原稿書きはワープロソフトでなくテキストエディタを使っていた。私は縦書き原稿のためには縦書きで書けるエディタを使いたいと思う人間だ。
Macで縦書き可能なエディタはMacOS9以前の時代に1つだけあったのだが、OSXでは探した限りでは存在しなかった。
そのため、それ以前の本はすべてWindowsのO's Editorというのを使っていた。
しかし、文章書きの効率を考えると、どうしてもegbridgeを使いたいと思った。
MacOSXで動く縦書き可能なテキストエディタはやはりなく、自分で作るかとも思ったが、更に探してみるとワープロなら存在した。それがegwordだった。
縦書きができること以外に、必要な機能として、
・決められた文字数で書かなければならないので、文字数指定ができること。
・書いたデータは、テキストファイルに変換できる事。
があったが、egwordはその条件をクリアしていた。
更に予想外に重宝した機能はルビ機能だった。egwordは画面上で漢字の脇にルビを表示でき、これをテキストファイルに変換するときは、たとえば「漢字」に「かんじ」というルビを振った場合、「漢字<<かんじ>>」と出力してくれる。これによってDTPをやってくれる人には<< >>で囲まれた部分がルビなので、と言って渡すことができるのだ。
テキストエディタを使っていたときでも直接テキストに「漢字(かんじ)」のように入れればいいのだが、これだと本来ルビとして文字数にカウントされないものを本文に入れるため、正しい文字数の把握ができなくなってしまう。
そのため、テキストにルビは入れず、校正のときに手書きで入れるようなことをしていた。egwordの場合、この機能のおかげで、文字数を正確に把握しつつルビが入れられた。
日本語入力のようなOS機能に依存するものは、今後のOSのバージョンアップで使えなくなってしまう可能性が高い。
それにエルゴソフトは受託開発をしつつ、パッケージソフト事業を続けてきた会社で、ウチも受託開発からの脱却を目指している中でこの会社の存在は心強く思っていた。(規模は違い過ぎるが)
その意味でもパッケージソフト事業からの撤退はショックだった。
「ことえり」もずいぶん良くなったと思うが、いまさらegbridgeから戻る気にはならない。
あるいは、アップルがエルゴソフトの開発者を採用して、「ことえり」にその技術を搭載してくれるようなことになったらいいのだが。
アップルのシェアが伸びてきているだけに残念だ。
エルゴソフトよ、これまでありがとう。(泣)
入会したのは1986年だったから22年間も会員だったということになる。
いまの仕事の内容は「研究」とはほど遠く、毎月送られてくる学会誌もほとんど目を通す事もなくなった。会誌に時折、前の職場の仲間の名前を見ることがあり、それを見ては頑張っているんだなと思うこともあったが、それを見るためだけに会費を払うのもばからしいことだ。これから出費も多くなる事だし、この際、退会することにしたのだ。
ネット上でその退会手続きを終えたところで1通のメールが来た。
エルゴソフトからのものでパッケージ事業終了を伝えるものだった。
Macユーザーにはお馴染の会社で日本語入力システムegbridgeやワープロegwordを開発している。これらの開発を終了するというのだ。
http://www.ergo.co.jp/
情報処理学会の退会には何の感慨もなかったが、こちらはショックだった。
特にegbridgeはもう10年以上愛用しているし、かつてアップル社で「ことえり」の開発に関わっている知人もegbridgeは「ことえり」よりも変換速度が速いし、一番使いやすいと言っていた。「ことえり」はOSに添付されている日本語入力システムのことで、彼はライバルを褒めちぎったのだ。アップルの社員がそんなことを言っていいのか、と思ったがそれは確かにその通りなのだった。
変換速度は抜群に高速で、時には自分が本当にキーボードを打っているのか、それとも何者かが勝手に打ち込んでいるのか、と思うくらいに速かったし、変換内容も賢く使い勝手が良かったのだが、いくつか前のバージョンで付いたスマート予測変換機能によって、もはやこのソフトを手放せないようになった。
そして、今春に出版される本の原稿はMac上でegwordを使って書いた。
これまで原稿書きはワープロソフトでなくテキストエディタを使っていた。私は縦書き原稿のためには縦書きで書けるエディタを使いたいと思う人間だ。
Macで縦書き可能なエディタはMacOS9以前の時代に1つだけあったのだが、OSXでは探した限りでは存在しなかった。
そのため、それ以前の本はすべてWindowsのO's Editorというのを使っていた。
しかし、文章書きの効率を考えると、どうしてもegbridgeを使いたいと思った。
MacOSXで動く縦書き可能なテキストエディタはやはりなく、自分で作るかとも思ったが、更に探してみるとワープロなら存在した。それがegwordだった。
縦書きができること以外に、必要な機能として、
・決められた文字数で書かなければならないので、文字数指定ができること。
・書いたデータは、テキストファイルに変換できる事。
があったが、egwordはその条件をクリアしていた。
更に予想外に重宝した機能はルビ機能だった。egwordは画面上で漢字の脇にルビを表示でき、これをテキストファイルに変換するときは、たとえば「漢字」に「かんじ」というルビを振った場合、「漢字<<かんじ>>」と出力してくれる。これによってDTPをやってくれる人には<< >>で囲まれた部分がルビなので、と言って渡すことができるのだ。
テキストエディタを使っていたときでも直接テキストに「漢字(かんじ)」のように入れればいいのだが、これだと本来ルビとして文字数にカウントされないものを本文に入れるため、正しい文字数の把握ができなくなってしまう。
そのため、テキストにルビは入れず、校正のときに手書きで入れるようなことをしていた。egwordの場合、この機能のおかげで、文字数を正確に把握しつつルビが入れられた。
日本語入力のようなOS機能に依存するものは、今後のOSのバージョンアップで使えなくなってしまう可能性が高い。
それにエルゴソフトは受託開発をしつつ、パッケージソフト事業を続けてきた会社で、ウチも受託開発からの脱却を目指している中でこの会社の存在は心強く思っていた。(規模は違い過ぎるが)
その意味でもパッケージソフト事業からの撤退はショックだった。
「ことえり」もずいぶん良くなったと思うが、いまさらegbridgeから戻る気にはならない。
あるいは、アップルがエルゴソフトの開発者を採用して、「ことえり」にその技術を搭載してくれるようなことになったらいいのだが。
アップルのシェアが伸びてきているだけに残念だ。
エルゴソフトよ、これまでありがとう。(泣)