GPS令状なし捜査は適法か、最高裁15日判断 被告の男性「捜査にもルールは必要なはずだ」
産経新聞 3/13(月) 16:43配信
裁判所の令状なしに捜査対象者の車両に衛星利用測位システム(GPS)の発信器を取り付けた捜査の違法性が争われた連続窃盗事件の上告審判決が15日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で言い渡される。検察側は、窃盗や薬物事件への「活用ニーズが高い」とし、手続きも適法と主張。一方、被告は「悪いことをしたので処罰を受けるのは当然だが、捜査にもルールは必要なはずだ」と判決を待つ心境を語った。
平成24~25年、店舗荒らしなどを繰り返したとして窃盗罪などに問われ、1、2審で懲役5年6月とされた建築業、岩切勝志被告(45)=保釈中=が、判決を前に取材に応じた。
「修理に出したバイクからGPS発信器が見つかった」。25年秋。共犯者からの連絡を受け、自分の乗用車の底部をのぞくと、黒いビニールテープが垂れ下がっているのが見えた。マフラー付近に、テープが何重にもまかれた物体が磁石で取り付けられていた。
それまでも犯行直後に捜査車両らしき車とすれ違うなど、追跡の気配を感じていた。「発信器だ」と直感し、「ずっと警察に行動を見られていたんだ」との思いに至った。
同年12月に逮捕された。被告は接見に訪れた弁護士に尋ねた。「警察が僕の車にGPSをつけていました。警察はこんなことまでできるんでしょうか?」
次第に実態が明らかになっていった。計16個の発信器が使われ、犯行と無関係の知人の車両にも装着されていた。被告は犯行の事実関係は認めている。「刑期を短くしてほしいとは思っていない。ただ、これが許されるかどうかをはっきり判断してほしい」と話す。
これに対して、警察幹部は「窃盗や薬物事件ではGPS捜査は特に有用」と話す。検察側も、高速道路の普及などで車両を使った犯罪の尾行捜査が難しくなる中、「行動経路や犯行拠点を明らかにすることは不可欠で、GPS捜査へのニーズは高い」と主張している。