今年度の大学入試共通テスト数学に対し、
受験終了直後から阿鼻叫喚のごとき感想が各所で上がっています。
河合塾の平均点予想を見ても、ⅠAが38点、ⅡBが42点と、
いずれも昨年度から20点ほどのマイナス予想。
数学が非常に得意な生徒にとっては全く問題ないでしょうが、
そこそこの生徒と苦手な生徒の間に殆ど差が生まれないでしょうから、
テストそのものの出来は非常に良くないと言えます。
しかしながら一方で、テストの構造や方向性は光るものがあると思います。
文章量が多くてしんどかった生徒や、何をすればいいかわからなくなった生徒が多そうですが、
世界的なトレンドを考えれば、作問の傾向は現行の方針に照らし合わせてもまっとうであり、
学校現場や受験生の学習の方向性こそ、このテストの傾向に合わせていくべきでしょう。
すなわち、ドリル的な大量の問題を解かせて慣らす、といった学習はすでに陳腐化しており、
読解能力と知識の出し入れの総合的な練習をしていく必要があるということです。
教材、問題集はもっと傾向に沿うよう変化すべきですし、
指導法やポイントの押さえ方も変わらなければなりません。
そして、最低限土台となる能力としての読解能力が必要なのですが、
この点が私が最も懸念している点でもあります。
高校生よりも下、中学生以下の生徒を見ていて思うのですが、
「識字率」は当然ながら高いわけですが、
「識” 語 ”」や「職” 文 ”」の能力が低下傾向にあるのではないかという懸念があります。
作問者の想定する国語能力が解答者にない場合、
現在の傾向で共通テストを作問していったとしても、
どこまでも噛み合わない溝がずっと残る予感がします。
本を読みましょう。大人と子供で会話をしましょう。
テレビを見るのも、YoutubeやTiktokなどのショート動画を見るよりは遥かにマシかも知れません。
まずは、問題をしっかりと読めるところまで登っていきましょう。
細かい知識はそれからです。
大塚