院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

放送劇(その2・「サラリーマン出世太閤記」)

2015-04-11 07:52:56 | 芸能
   (新潮文庫。)

 源氏鶏太作の「サラリーマン出世太閤記」という放送劇を面白く聴いていたことを前回書きました。あらためて調べてみると、源氏鶏太の小説に「サラリーマン出世太閤記」という題名のものはないのです。ラジオ放送劇用に新たに作られた名称だと思われます。

 放送劇の台本の参考にされたのは、たぶん上の「三等重役」など、源氏鶏太の一連のサラリーマン小説でしょう。映画の「社長シリーズ」はこれから由来し、森繁久彌をスターにしました。

 戦後、GHQによって公職追放が行われ、社長や重役が追われて、棚ぼた式に重役になった部課長級の人たちがいました。「三等重役」とは彼らをあなどって付けられた呼称です。映画の森繁久彌以下はいくぶん下品に描かれているでしょう?

 もっとも、パージで期せずして重役になった人たちは頑張りました。そして、戦後の経済界のいしづえを築きました。「本物の」重役たちがパージされ、かえって「老害」のなくなった場所で三等重役たちはのびのびと仕事をしたそうです。

(「サラリーマン出世太閤記」では、主人公は運に恵まれて出世していきます。このあと、白黒テレビの時代になり、「赤いダイヤ」、「どてらい奴」、「細うで繁盛記」など出世もの、と言うか「大儲けもの」が流行ります。それらについてはまた後日。)


※今日、気にとまった短歌

  やさしさが重荷であったあの頃のつづきのように梨の実届く (京都府)福西直美

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