院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

逆転の論理が幅をきかす正月の新聞

2014-01-06 05:22:03 | マスコミ
 「薄着をする」ということ自体は、良いことでも悪いことでもない中性的な行為である。ところが「薄着をする」ことが悪い行為と見なされることがある。冬に薄着をした結果、風邪をひいたときがそうである。

 私の母親は子どもの私が風邪をひくと、「薄着をしていたからよ」と責めた。つまり、母親にとっては薄着それ自体が悪いことなのだ。「風邪」という悪いことを招来するから、元来中性的な「薄着」が悪いことにされてしまう。

 このような順序の逆転はしばしば起こる。世の中には規則正しい生活をすると健康で長生きできるという、あまり根拠がないテーゼがある。だから、規則正しい生活は「良い」ことになっている。

 正月の新聞の投書欄は、このような逆転の論理で満載だった。70代80代の老人が、「ラジオ体操を10年続けている」、「毎日欠かさず短歌を作っている」、「近くの山にもう6,000回登った」といった話が自慢気に載っている。

 だが、それらは個人の趣味であって、いちいち新聞で報告するようなことではない。個人の生活習慣が、現在の長寿に結果となって表れた証拠はなにもない。むろん、このような投書ばかりを集めたのは新聞社の記者である。

 新聞記者といえば知識人ということになっている。彼らは論理が逆転していることを承知の上で、これらの投書を掲載しているのだろうか?だとしたら、人が悪いとしか言いようがない。

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