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加東市で「土を喰らう十二ヵ月」

2023年06月05日 | 土を喰らう十二ヵ月(2022年公開)

兵庫県内陸部、緑豊かな田園が広がる加東市で「土を喰らう十二ヵ月」を見てきました。

映画館のない市民に上質な文化や映画を、という恒例企画で去年は「キネマの神様」、今年は「大河への道」を見ました。友の会の会員ならば、とてもお安い値段で見ることができます。

加東市地域交流センター

綺麗な会場、ここでは去年の10月に土井善晴さんの講演会もありました。

今回で多分8回目?の「土を喰らう十二ヵ月」、ブルーレイは買ったけど。大きなスクリーンで広い劇場で、ジュリー演じる背中の丸くなった老作家のツトムさんを見る、という贅沢は捨てがたくて、また来ました。

観客は、自分を含めた高齢者多し。ここの映画会は、いつもほぼ中高年ばかりで、映画そのものも老人映画といえなくないですけど(^^; 田園地帯が広がる加東市の観客は、都会に住み土を触ることなど、ほぼない人々よりも、ツトムの畑仕事など、ずっとこの映画を受け入れることは容易いのではないだろうか。

加東市の映画会では今まで「キネマの神様」と「大河への道」を見たけれど、どちらも映画に字幕付き。今回もそうだろうと思っていたら、意外や字幕がついていない。あれ?今回は何でですか?

字幕は初めは「いらん、邪魔」と思うものの、自分では気が付かなかった細かい音や、聞き取りにくい台詞も、字幕のせいでよく分かる。音が字幕で表されることで、このシーンにこういう効果や意味があったのかと、気がつかされることもあって、今回は音はどう字幕で表現されるのだろうかと、少し期待をする部分もあった。それくらい「土を喰らう十二ヵ月」は、台詞はなくても生活音に自然音、獣の声、鳥の鳴き声など、それだけでシーンを説明して余りあった。今回はないのね、ちょっと残念な気がしましたわ。

加東市の多くの観客には、やはりお通夜のシーンが一番受けていた。さんしょの愛らしい小さな動きにも、微笑ましい笑いが起きていて、皆さん笑いのツボはどこも同じです。

ジュリー演じるツトムさんの、仙人のような山奥の隠遁生活をおくる穏やかな表情には、歌手ジュリーの面影が無くて、何度見てもキュッとする

特典映像を見てしまったあとで、指を刺すような冷たい水で野菜を丁寧に洗い、料理をする姿には、土井さんがこういう風にと細かく指導されたんやろな、と重ね合わせて、それもまた好ましいね。

しかし、なんといっても私がこの映画を見て、一番に思いだすのは亡き母のこと。畑で作ったほうれん草や大根や、曲がった胡瓜や茄子を、実家に帰った時にもたせてくれた。自宅で実った柚子の千切りを入れた白菜づけを、樽にいっぱい漬けて持たせてくれた。蕨や土筆を私の為に摘んで、帰ってくるのを待っていてくれた。味噌も実家でもらうお味噌が一番美味しかった。

ツトムさんが畑で野菜を取るたびに、水仕事をするたびに母の姿を思い出す、母の面影が浮かんでくる。母が亡くなった時は、自分では意外なほど嘆き悲しむほどのことはなかったけれど、「土を喰らう十二ヵ月」は年齢を重ねたジュリーの自然な飾らない魅力だけではない、在りし日の元気な母の姿を思い起こさせて、とても切なくさせてくれる映画です。



 

映画が終わったあとで、交流会館からすぐの「播磨中央公園」に行ったら、公園内の池がまるで、ツトムさんが散骨した湖のように思えて、静かに佇む池面に しばし見とれる。池の向こうに白馬の山々は無いけれどね。

土曜日の夕刊に、「惜別」奈良岡朋子さん



 

播磨中央公園は、広いバラ園もあって、綺麗でしたよ

山ぼうしの、4弁の白い花が満開

 

鋼の錬金術師のロケで、ディーン藤岡さんが歩いたという、並木道

 

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