人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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「裏方カンパニー」すなわち、いわゆるアウトソーシング先となったり、最終製品メーカー向けに特殊な部材を供給したりする企業の特集である。消費者にはほとんど名前を知られていない企業である場合が多い。本記事で取り上げられているのは次の企業。

  • わらべや日洋 ・・・セブンイレブン向けの弁当・惣菜メーカー
  • トランスコスモス ・・・テクニカルサポートのアウトソーシング
  • エイジス ・・・チェーンストアの店頭棚卸し代行
  • アルバック ・・・真空技術を用いた、製造装置メーカー
  • 巴川製紙所 ・・・リードフレーム固定用両面テープの最大手

特定機能に特化したアウトソーサー・・・水平分業の動きが強まる中で、そのようなアウトソーサーの役割は強くなっている。特定機能や部材に特化することによって世界的シェアをとることも可能であり、その意味では、日本企業の今後の可能性、世界的な生き残りの一つのパターンを示しているとも見られる。

しかしながら企業の質的成長という側面から見た時、また、その企業における従業員のキャリア成長という側面から見た時、そのような水平分業企業、アウトソーサー企業の将来性はどうだろうか?特定機能に特化する結果、規模的な成長は追うことができても質的な成長には限界が出てきやすいのではないだろうか?従業員のキャリア成長にも頭打ち感が出てくることはないだろうか?契約社員やパートタイマーの比率が多くなったり、正社員の勤続年数も短めになったりしがちではないだろうか?マネージャーやリーダーの役割も、品質の改善やコストの削減などのオペレーショナルな改善に限定されがちとなり、優秀な人材を惹きつけにくくないだろうか?

そうではない、ということを、本記事の事例企業の例を参照しながら言うことができる。本記事にあげられているような「裏方カンパニー」は、品質、納期、コストを改善するためにマネジメントレベルを高めるのみならず、製品やサービス内容にイノベーションを加えていることがわかる。それによって、特定企業向けのアウトソーサーではなく、普遍性を持つ「プラットフォーム」企業に化けていることがわかる。それによって、顧客の幅を広げて(場合によっては世界的に)シェアを広げることのみならず、サービス価値の次元を高め、付加価値をぶ厚くしていっている。

そのような「プラットフォーム」企業化のポイントは、(機能の)モジュール化、(サービスインターフェースの)ソケット化である。それによって、自らのサービス機能のレイヤーを他のレイヤーと結びつけやすくしていることがわかる。

事例企業の中から、そのような要素を抽出すると、

  • わらべや日洋 ・・・多目的に使える惣菜製造機械の開発により、対応可能な惣菜を広げていくとともに、セブンイレブンの商品拡張にも貢献。一方では、品質管理手法そのもののパッケージ化。
  • トランスコスモス ・・・コールセンター運営ノウハウのパッケージ化と地方拠点展開。さらに、顧客接点である会話内容を分類・記録できる独自のソフトウェア開発により、顧客接点情報の分析サービスを開発し、新しい独自の付加価値レイヤーに進出。
  • アルバック ・・・製造装置をモジュール化、ユニット化することにより、様々な顧客の様々なニーズに迅速に対応できるようにしておく。装置を組み合わせたソリューション例を、綿密にカタログ化、体系化し、しかも市場のニーズを反映させながら、そのカタログを充実させ続ける。

プラットフォームの上に様々な価値のレイヤーを上乗せし、取り込んでいくことで、アウトソーサーだったものがいつの間にか、産業バリューチェーンの中の中核になるようなケースも出てくるだろう。



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