人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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GEジャパンのホームページを久しぶりに見てみた。シンプルで、採用に関する記述が多い。つまりホームページはまず採用ポータルとなっている。そして、その中でも注目すべきは、リーダーシップ養成プログラムの紹介である。以前にも、人事制度の事例としてこのページを参照することはあったのだが、ここのところ別の意味から感心している。つまり、リーダーシッププログラムがグループ経営戦略推進の前提条件になっているのである。

私はここのところ、グループ経営の確立・強化に向けたグループ再編に関わる検討をすることが多いのだが、ほとんどの場合、再編にあたって「人をどうするのか」ということが大問題になる。これまで一枚岩だった会社が別々の会社に分かれていくとき、一人一人をどの会社に帰属させていくのか、ということが、会社にとっても従業員にとっても大問題なのである。特に従業員にとっては、当面の処遇もさることながら、将来のキャリアが大問題になる。

それがネックになるから、形式的にはグループ経営化するが中身(事業や機能の統廃合)にはほとんど手を触れない/先送りする方針になりがちである。また、労働契約承継法という法律があって、会社分割後に従業員がどの会社に帰属してどのような処遇を受けるか、ということに対して原則を与えているのだが、それは再編の瞬間の状態だけに着目してとりあえず移行しましょう、という暫定的な措置を示しているにすぎないので、再編時の事務局担当者にとっては救いの法律だが、事業や機能をどのようにしたいから人をどのように再配置していく、という根本的な検討は、将来の検討課題として残されたままになる。感覚的に言って、最近の大きな再編報道のケースの大半はそのような課題が残ったままの再編ではないかと見ている。

結局、実のある再編を行うためには、人の処遇に関するインフラを整えておいたかどうかということがきいてくる。

  • それは第一に、共通のロジックに基づく報酬制度である。金融や化学業界で再編が進んできたのは、一つには、(横並びの発想であっても)共通のロジックの報酬制度が導入されてきたことが、後になって(再編の段階になって)うまくきいてきた、という側面もあると見ている。
  • そして第二に、人材育成やキャリア開発に関する制度。GEジャパンの場合、応募者はGEというのが実は沢山の企業の集まりであることに気づくことになる。しかし、企業の違いというものが全く問題にならないように人材開発やキャリア開発の網がかけられていることがわかるので、所属企業の違いを気にする必要はない。

かくして、キャリア開発プログラムがグループ経営戦略推進の鍵となっている。



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