夏一番の猛暑の夜には 未だ蝉時雨が降っていた 生ぬるい都会の風の中で 短い命が懸命に合唱していた セミを宿らせ、大木の緑も揺れている 木々は人知れず、ひんやりと息をしている 私は、全身の細胞を開放して 闇に発散された樹気を吸い込んでみる 樹木の緑の息吹から その年輪の刻んだ遠い時間が 久遠の生命の声が聴こえてくる 虫も木も人も区別はない 生命とは、尊厳である
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今日は8月15日、終戦記念日である。
何故か、五時にピタッと目が覚めて、
アイデアはあったものの、一時間で詩を書き上げた。
昨晩の寝つきが悪くて、実睡眠時間は4時間くらい、
だるいが、庭で素振り木刀を100回振って、気合を入れた。
そして、今日は、皇居の千鳥が淵にある
戦没者墓苑(無名兵士の墓)に参拝するぞ、と決めた。
9時頃、出かけるために着替えをしてたら、
ピンポ~ン。
出版社から宅配便で . . . 本文を読む
人々が額づく程の辛苦を 人が人に向かって作りませんように 汗の雫が、悔いや涙とではなく 笑顔と一緒にこぼれますように 夏の晴れた空に喜び、励むことが 秋には、実りとして訪れますように 夕焼けやトンボの行方を 風にたずねてみる子供たちでありますように 誰もが、美しい水や光のことばで 自分の夏が、思い出せますように そして誰の心からも 「平和」だけは年老いませんように . . . 本文を読む
また悪夢で、午前4時半に目が覚めた。
薬を飲んで何とか眠り、8時過ぎに目覚めた。
夢の内容は、全く覚えてない。
親への、古い憎しみや嫌悪の情が主題だった。
起きてから、テーブルでライ麦トーストを齧り、
コーヒーと豆乳を飲み、ヨーグルトを食べていた。
そしたら、母親が起きてきて、向かいの席に座り、
朝の血圧測定を始めた。
私は、すっごく嫌だった。
食べている処を、正面から、特に親に見られながら、 . . . 本文を読む
近所に出来た新しい美容院へ入ってみた。
1ヶ月前に千円床屋で、髪を梳いてもらっただけなので、
襟足が長くなり、暑苦しくなってきた。
私のヘアースタイルは、好きでやっている訳でもないが、
昔から、ゲゲゲの鬼太郎っぽい、と言われる。
段カットにしてもらって、とにかく涼しげにしてもらった。
美容師のおネエさんは、やけに話好きな人だった。
営業トークというのもあるのだろうが、
「近頃、超暑いですね」に . . . 本文を読む
悪夢で目覚めてしまった。
午前4時半。
16年前に亡くなった祖父が、
部屋で首を吊ろうとしていた。
私が止めに入ると、
祖父は高校生風の妹に置き換わり、
同じく、自殺しようとしていた。
この夢は、私自身の自殺念慮や
幾分かの贖罪感を表している。
祖父は重篤な病を隠して
自死を果たすように他界した。
実際に自殺したのは、近所の同業者で
小さな加工業をしていた、祖父の弟である。
アルコール中毒 . . . 本文を読む
ツタが這う 紐のようなか細い腕を伸ばし 葉っぱ同士が 懸命に手を繋ぎ合い 我が家の西側の絶壁を ジリジリとよじ登る 日陰の地面から芽吹いて 一階から二階の窓へと伸び 庇にぶつかっても 伸びることをやめない さらに雨樋を乗り越えて 屋根へと上がっていく 誰にも止められない ひたすら垂直なる 緑色をした夏の意志 天の青を指差して ヒゲのように撥ねたその先端は 暑い風にそよぐままに 夏の空をくすぐっているみたいだ
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