都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

イメージと実物

2008-08-10 09:58:58 | マクロ経済

引き続き暑さが続きます。この3週間ほど35℃前後の日が続きます。景観の本も読もうとしていますが、オリンピックに押され気味。<o:p></o:p>

リアリティ(現物)とイメージ(バーチャル)のお話しでも。このお題はMITの都市計画学部Dennis Frenchman教授の1999年の講座で提起がありそれから考えています。その実例として良いのは金融工学としてのサブプライムがあります。もともと不動産とは現物でテナントからの収入から費用を引いたものが収益という単純なものです。それが証券化だとか、オプションだとか、メザニンとか色々加工されて、しかも束になってサブプライム商品になりました。これは実態からどんどん変化した格付けの良い不動産証券としての「イメージ」になったと思います。目の前の現物としてのステーキが、加工され何か分からないけれど、お味と栄養は保証つきのハンバーグになったようなものです。たしかにステーキはばらつきがあったり、筋があったりしますが確かなお肉です。ハンバーグにしてしまうと、大豆蛋白、化学調味料なども入ってきます。肉としてステーキのイメージはあるけれど別物です。最近、不動産も証券化や小口化がもてはやされていますが、開発者からいうと幅広く高い金利で借りられるようになったということです。逆には銀行預金より利回りで投資機会が増えたと思われますが、その品質や運営内容は本当に確かかなと思います。更に金融工学という手順を踏むとより不透明と感じます。(どうやっても不動産収益(キャピタルゲインを含む)を越えるような魔法の仕替けはありません。レバレッジ理論も見かけの利回りは上がりますが、総収益は借入金が多くなればなるほど下がるのは自明のことわりです。)<o:p></o:p>

次の「イメージ」の発展の例として、車が売らなくなったのがあります。昔、男の若者が車を欲しがるのは女性とのお付き合いを狙って当たり前でした。それが最近は、車より携帯だ、ネットとなっています。ネットを含めコンピュータの技術革新は唯一前に向かっている分野です。ますます新しいメディア、コミュニケーション、エンターテイメントができてきています。実物よりも空想がいいのは、「気を使わなくていいから」、「安心できるから」、「お互い傷つかないから」というのを聞きます。この理由として、人間関係が鬱陶しいからかもしれません。世の中が低成長になり、革新から改良、表現から気配り、IQからEQなど、いざという時の関係性維持の相互保険を目指した人間関係作り(嫌われないこと)が主目的になっているのではないでしょうか。<o:p></o:p>

もっと、自己実現と産業転換にむけた表現をすべきだと感じますが、失点を恐れる世の中にはなじまないでしょう。この停滞感が逃避先(リゾート)として「イメージ」の選好性につながるのではないかと感じています。<o:p></o:p>

結論として、コンプライアンス、エコなどという「きちんとしましょう」という建前と経済の低成長、それに対してのネットの技術革新が「イメージ」を増長しているのではと感じます。

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