都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

梅田の大阪中央郵便局の開発:大阪市オフィス・マーケットの今後

2008-12-14 12:29:51 | 都市計画

 景気後退を受け、オフィス需要が低迷するなか、大阪市では新規開発が多い。特に梅田での大型・駅近のもの(Aクラスビル)多く、北ヤードを除いても3万坪はあるのが、今度の大阪中央郵便局(2万坪くらいか)で5万坪となった。大阪のオフィス・ストックは約300万坪であり、この新規供給で空室率は約2%上ることとなる。北ヤード開発を入れると、もっと上がる計算だ。<o:p></o:p>

 大阪市のマクロで考えると、梅田と御堂筋線の拠点性が高まるだろう。(拙稿 大阪のオフィスセンター 参照下さい http://www15.plala.or.jp/n7ohshima/oosaka%20ofice%20centers.pdf )しかし、大阪は東京と違い、立地による営業効率格差が少ない (東京のオフィスセンターもご参考に http://www15.plala.or.jp/n7ohshima/tokyo%20office%20center.pdf )ので、梅田と淀屋橋・本町の差が小さい。問題は、新築ビル集積がどういう効果をだすか。その効果により、他のエリアがどのような影響を受けるかを考えたい。<o:p></o:p>

 梅田にはデパートが多く、大きくなる。オリエンタルランドも出るらしい。エキスポランドもパラマウントのテーマパークが構想されている。いよいよ、消費面でも大阪の重心が北に移りそうだ。大阪は都心機能をどうコンパクト化していくのかどうか。また、都市の競争力として、これだけオフィスが増えるのであれば、大阪のオフィス立地の優位性を高め、アピールするべきだろう。方策としてはコンパクト・シティ化と大阪市内の機能分散がある。機能分散方式は需要が拡大し、産業育成の見込みがあれば有望であるが、そのシナリオは採りにくい。であればコンパクト・シティ化である。<o:p></o:p>

 かたや、都市間競争力の強化の側面からは、Aクラスビルの利便性の高い立地での集積は望ましい。今後は例えばコールセンターなど都市間の取り合いが想定されるが、後背地の主婦人口・学歴や交通利便性からも有利である。しかし、大阪市内で梅田(新しいオフィスセンター)と淀屋橋・本町(歴史あるオフィスセンター)の競合、心斎橋、難波、天王寺の強化方策が望まれる。これは追って考えるが、今回は梅田の商品化を検討する。一例として、北ヤードはオフィスを後回しにし、住宅を先行開発とし職住近接を売り物とする方策がある。(こんな都市は日本に少ない、丸の内にはないが、八重洲の後背地の月島などは住宅だ) 更に府庁を梅田に移転し、その跡地は緑化する(北ヤードの緑化より、大阪市としてのメリットがあると考える)梅田の集積機能は更に高まる。位置は北ヤード2期の駅から離れたところで先導施設としての役割を担わせる。(大型開発の端部に集客のマグネットを置くのは定石である、逆に駅近くから開発していくのでは将来開発が難しくなる可能性がある。駅近くは仮設利用でも良い)府庁の移転費用は、前述のとおり空中権を北ヤードに持ってくれば緑地と府庁の交換となる。<o:p></o:p>

 大阪市での大きな都市経営の課題である。ご意見給われば幸いです。<o:p></o:p>

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アマチュアの楽しみ:オーデ... | トップ | ライトアップは上品に:御堂... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

都市計画」カテゴリの最新記事