都市と楽しみ

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WTC大阪の鑑定と賃料の謎

2009-01-24 14:16:31 | インポート

久々にマクロではなくマイクロ・エコノミクスのお勉強をする。WTC大阪は鑑定価額が大阪市153億円、大阪府95億円と開きがある。もともとこの開発は1,193億円の総事業費とのことであるからどちらにしても10%位の価値になった。また、大阪市も賃料を4,700/㎡を4,300/㎡にするという。共益費が不明であるので4,500/坪と仮定しても共益費込み20,000/坪から18,800/坪という賃料水準である。一体、鑑定ではどのくらいの賃料かと試算してみた。以下は前提条件である。<o:p></o:p>

延床 149,000㎡、貸床面積73,000㎡(うちオフィス61,000㎡、商業12,000㎡)敷地面積20,000㎡、路線価 前面185千円/㎡、側方180千円/㎡で試算した。要求利回りは、日本不動産研究所の第19回投資化調査で御堂筋の利回りが5.3%なので6.0%とした。なお、商業は2.6億円/年、その他収入(駐車場、展望台など)が3億円/年(H16年 5ヵ年経営再建計画のデータより)としている。大まかな試算であるが、大阪市の前提で賃料は1,300/㎡(共益費4,500円として共込み8,800円)、府の前提で930/㎡(共込み7,600円)となった。恐らく、商業、その他の収入を多く見込んでいるためオフィスの賃料が低いのだろうが、本町から22分(東京なら汐留・新橋から臨海副都心までの時間に相当する)の立地ならば本町の賃料から考えるとこのくらいかもしれない。とすると府庁の移転は賃料負担の軽減としてのリストラである。但し、一般企業と違い府民の利便性大幅低下、大阪都心の集積度低下という「社会の便益」は低下する。ここでいう「社会の便益」とは社会全般という意味で、官庁の単体収支を指すのではない。<o:p></o:p>

 また、鑑定からの賃料では現在の大阪市の支払い水準との乖離が大きい。更に事業費の10%の価値しかなくなった開発なのに責任は明確ではない。価値が100億円として土地が無料としても、建物は延べ面積あたり22万円/坪の価値しかない。中古のマンションでもここまで安くはならないだろう。<o:p></o:p>

 さらに、橋下知事は「城替え」で「意識改革」といっているが、そうなるのか。社会全体の便益を考えるべきである。エコロジーの時代でもあるし、夏は風が通るような低廉な建築で環境に優しい名護市庁舎( http://www.arch-hiroshima.net/a-map/okinawa/nago.html )のようなものを考えると良い。<o:p></o:p>

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