坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

小林孝亘 光と色彩の行方

2013年02月19日 | 展覧会
小林孝亘さん(1960年~)は、村上隆さん、奈良美智さん、会田誠さんらネオポップ世代とほぼ同年代ですが、新たな具象表現を追い続ける画家です。
ニューペインティングの後、90年代後半から表れたニュー具象派の一人です。世界的な現象でもあったこの動向は、自分の個人的な感覚を大切にする揺らぎのある感覚が特徴的です。一つの方向ではなく、見る人によってとらえ方が変わってくる振り幅のある表現は、他者性を取り込んだ具象表現と言えるでしょう。
小林さんは、黒い線が拮抗する潜水艦シリーズでデビューしました。一躍注目されたのはVOCA賞を受賞した「Beehive」というミツバチの巣箱を整然と描いた作品で独特の陰影をつくりだしていました。
その後、日常の断片である森の木や、水飲み場、車、犬、皿などをよりシンプルな構図で描いていきました。35歳ころより、バンコクに創作の拠点を置き、その生活の中でとらえた光や色彩、時間の流れが作品となっているようです。
その姿勢は変わらず、2000年以降代表的なモチーフとなった人間像もどこか仏像に通じる聖なる光を宿しています。
西村画廊で現在、「Full Moon」が出品されています。

◆NEW YEAR NEW WORKS/開催中~2月23日/西村画廊(日本橋)
☆次開催の西村コレクション展においても2006年の人物像が出品されます。3月5日~30日

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