坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

若手作家と教官の展示ー藍画廊  /銀座の隠れ家にお伺いして

2011年08月21日 | 展覧会
銀座1丁目の藍画廊で、〈Switchers 3×3〉という美大の教官と推薦された専攻学生の作品展が開かれました。(20日まで)
女子美術大学の中村一美(敬称略、以下同)×清水夏帆、武蔵野美術大学の袴田京太朗×松尾勘太、東京造形大学の近藤昌美×衣信一郎という組み合わせで、学生の方が新作の2点、発表ということで、若手作家を押し出す企画として注目しました。
震災後の社会状況の変化に意識を向けた作品内容で、若い作家の率直な姿勢が現れていました。
・掲載作品は清水夏帆さんの「彼方を掬う」というシリーズで、抽象表現の可能性を問う色彩と形態の揺らぎ、奥行きへの研究が見られました。

☆銀座隠れ家拝見
〈アートソムリエ〉としてアートをより身近に楽しむための幅広いご活動をされている山本冬彦さんの銀座の隠れ家にお伺いし、お話をお伺いしました。
画廊ビルとして有名な手動式のエレベーターのレトロな趣のあるというと、お分かりの方も多いかもしれませんが、その一室にコレクションの一部が展示され、執筆活動もされていますので、書斎のような雰囲気で、落ち着けるいい空間でした。
29歳のときに部屋に飾る絵を一点購入して以来30年以上にわたり週末の画廊巡りを趣味として、その時々の若手作家の作品を蒐集され、現在では1300点を超えるコレクションとなりました。昨年の1月から2月に佐藤美術館(新宿区)で、「山本冬彦コレクション展:サラリーマンコレクター30年の軌跡」が開催され話題を呼びました。
公演活動やギャラリーツアーなどを精力的に行うなかで、私がとくに関心を抱いたのは、ビジネスパーソンに向けてのアート普及です。〈一方向的ではないいろんなタイプの作品に触れて楽しめるようなギャラリーツアー企画をしています。評価が既に定まった作家だけでなく自分の同世代の作家に目を向けて心に触れた作品を応援してほしい〉と熱く話されました。
山本さん、ありがとうございました。

☆ギャラリー枝香庵(えこうあん)
もう一つの収穫は銀座3丁目の狭い路地を入ったビルの最上階にあるテラス付きのギャラリーに案内していただいたことです。
あの伝説的な洲之内徹さんの現代画廊に通い詰めた後藤洋明さんというコレクターの方の展示がされていました。常設もされていますので、思いがけない有名作家の作品に出合える機会もありそうです。オーナーの荒井よし枝さんもすてきな方でした。
http://echo-ann.jp



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