坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

奥村晃史 細密描写とナイーフアートの混在

2011年08月03日 | アーティスト
ギリシャ神話の「アポロとダフネ」は、追いかけてくるアポロの手から逃れようと月桂樹に変身するダフネの姿をとらえたバロック芸術の最高峰とされるベルニーニの「アポロとダフネ」の彫刻が有名で、絵画的で映像的な動きの妙は、永遠の名作です。
現代はまたネオバロックの時代でもあります。異種混合の合体や化身はアニメなどでもおなじみですが、現代の絵画においてもその化身の姿は新しい視覚のビジョンになりつつあります。
奥村晃史さん(1972年~)の作品は、兎や羊、子豚など身近な動物をモチーフとして、「苺の皮を被った羊」など、今的な植物の着ぐるみという感じのシチュエーションの特徴的な表現で目を引きます。
17世紀オランダ絵画を思わせる背景をダーク調に抑え、精密な写実表現を基本に置きながら、優しさと怖さを秘めたナイーフ派(素朴派)を混在させています。
岐阜に在住されていて、モチーフとなる動物たちは身近な存在であり、表情は穏やかで癒されます。



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