坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展

2011年01月23日 | 展覧会
マリー=アントワネットの肖像画を多く描いたことで知られる宮廷画家ヴィジェ・ルブラン。18世紀ロココ時代の宮廷画家として手腕を発揮した女性画家。その肖像画が、昨年秋に損保ジャパン東郷青児美術館で開催された「ウフィッツィ美術館 自画像ゴレクション」展に出品され、まだあどけなさの残る可憐な女性が筆を持つ姿が少し意外で印象的に残っているのを覚えています。
ルブランの本格的な展覧会がこの春、三菱一号館美術館で開催されるということでマリー=アントワネットを中心にした貴婦人の華麗な肖像画の数々が展覧されます。併せて同時代の女性画家達の作品も展覧される予定です。
当時は宮廷画家と言えば肖像画家であり、アカデミーで培ったその卓抜とした技量が支えとなっています。時代はフランス革命の前後、ルブランの人生もその激動の社会の波に翻弄されていきます。18世紀に最初に活躍した女性画家でマリー=アントワネットの悲劇の終末とともに、一人娘を抱え、外国での亡命を余儀なくされます。海外においても彼女の作品の評価は衰えることはありませんでした。ルブランの肖像画は手や首筋などの細かい部分の繊細な表現にあります。ロココの優雅さと美しさを華麗なテクニックで堪能できます。
・掲載作品 エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「自画像」エルミタージュ美術館蔵

◆「ヴィジェ・ルブラン展」/3月1日~5月8日/三菱一号館美術館(丸の内)
              

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