坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

モネとジヴェルニーの画家たち展

2010年10月18日 | 展覧会
今年の美術展は、ルノワールから始まりモネで終わるまさに印象派展の年と言えるでしょう。現在は国立新美術館で、ゴッホ展が開催中で、パリのオルセー美術館が大改修に伴い、これまでにない規模のオルセー美術館展が開催されたのが圧巻でした。
印象派はなぜ変わらぬ人気を保っているのでしょう。近代の市民階級の華やかな生活から産業化への反発から自然への回帰など、今われわれが感じている現代社会の断面を作品の中に見出すこともできます。
印象派は技術の革新の時代に生まれた画面上の視覚の新たな扉でした。現代で言うならば電子化による書籍やビジュアルの視覚の変化にも匹敵するのかも知れません。
今年、最後の印象派展を飾るのは「モネとジヴェルニーの画家たち」展です。
モネの睡蓮の連作をはじめ、40歳を過ぎてからの「積みわら」「ポプラ並木」の連作など、セーヌ川沿いの小村、ジヴェルニーに滞在し、光そのものへ集中していったモネの画業の集大成が展示されます。モネの評判はアメリカの雑誌などでも紹介され、20世紀初頭には、日本人も含めて多くのアメリカ画家が、この地に滞在し印象派を学びました。アメリカ印象派の流れを創り出した成果がこの展覧会で紹介されます。アメリカ画家たちは戸外で制作する色彩分割の描法を学びますが、風景にとどまらず、そこで暮らす人々を生き生きと描写しました。

●「モネとジヴェルニーの画家たち」
  Bunkamuraザ・ミュージアム/12月7日~2月17日

最新の画像もっと見る

コメントを投稿