坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

メトロポリタン美術館展 ①

2012年10月11日 | 展覧会
今日も半そでシャツの人も多くてこの時期にしては暑かったですが、カラッとして秋日和のアート散策にはいい日和になってきました。
現在開催中のメトロポリタン美術館展は、ご存じメットの膨大な作品群から自然をテーマとして、4000年の旅へといざなってくれます。自然と美術とは切っても切れない関係で、時代や国、地域を超えた多くの芸術家が、自然からインスピレーションを得て、創作への糧としました。
そういう意味では、漠然としたテーマではありますが、ここでは博物誌的な視点で、自然や動植物を西洋の美の歴史はどのように具体的にとらえてきたかをみていきます。
ですから、一挙に時空を横断していくコーナーが設けられている点が新鮮でした。
プレスの関係者からの、「いきなり巨匠の作品が出てくるんだね」という声を聞いて、歴史化された作品がいかに現代に訴えかけてくるかあらためて感じました。
第1セクションでは、理想化された自然と題して、西洋文化の自然のヴィジョンで幕開けです。
トマス・コール「キャッツキル山地の眺めー初秋」1836-1837年。平穏な田園風景の理想化された美しい作品でした。



レンブラント・ファン・レイン「フローラ」1654年頃。春、花、愛の女神であるフローラをピンク色の花がついた帽子をかぶりヴェネツィア風の衣装をまとったスタイルで描きました。亡き妻サスキアへの思いを重ね、自身の人生の春の時を思いながら。



画像では、一体何?と思われるかと思いますが、カバの頭部です。アート女子が「可愛いー」と人気の作品でした。
エジプト、新王国時代 前1390-前1352年頃。カバというと現在では愛嬌のあるある動物で動物園で見るので危害を及ぼしそうにありませんが、古代人にとっては、予測がつかない動物たちとは曖昧な関係をもっていたようです。

◆メトロポリタン美術館展/開催中~13年1月4日/東京都美術館

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