坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

リチャード・ゴーマン展 色と形のダイナミズム

2010年08月14日 | 展覧会
アイルランドの代表的な抽象画家として知られるリチャード・ゴーマン(1946~)。ジャクソン・ポロックから始まる抽象表現主義の流れをくみ、フランク・ステラのシャイプド・キャンバスによる絵画の可能性への試みを咀嚼し、自己の絵画の構成に応用、純粋抽象の枠を広げています。90年代から日本でも紹介されるようになり、色彩による分割による抽象作品は色彩のダイナミズムを感じさせます。幾何学的抽象のシャープさと明るい色面が多用されました。
この掲載の作品では柔和な中間色を基調として、日本的な間の空間を感じることもできます。近年では、福井県の今立の和紙を使った作品も発表しています。日本の絵画も触発されることも多いのではないでしょうか。
絵画のこれまでの規定であった矩形でなくても成り立ち、背景と主体(像)との関係も見ていくと、幾何学抽象の面白さも膨らんできます。規定されたイメージではなくそこから自由に想像し楽しんでみるのもいいでしょう。

●三鷹市美術ギャラリー(東京)/9月11日~10月24日/Tel0422-79-0033
 巡回展 足利市立美術館/10月30日~11月28日

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