坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

根津美術館のリニューアル特別展

2010年09月01日 | 展覧会
根津美術館(南青山)は、昨年秋にリニューアル開館して以来、同美術館のコレクションの特別展が開催されてきましたが、現在記念特別展の締めくくりとなる8部が開催されています。
青山のハイセンスなファッション通りから少し入って都会の喧騒を忘れるかのような一角に根津美術館があります。根津嘉一郎の蒐集品の優れた日本美術のコレクションは多岐にわたりますが、本展の見どころは、円山応挙の「藤花図屏風」(1776年)(重要文化財)で、掲載画像はこの作品とは異なり、参考作品として応挙の代表作の一つを掲載しました。
円山応挙は、江戸中期に活躍した絵師で、写生を重んじて、現在の京都画壇の円山派の始祖と言われています。藤図では金地に満開に咲き誇る壮麗な藤図となっており、左に余白を取り入れ、蔓を配しています。くねって曲った幹は付立法といって輪郭を描かず大胆な描写になっていますが、藤の花は細かく微細な筆の運びで装飾感を盛り込んでいます。
隈研吾さんの建築設計により、建築空間と一体となった名品が楽しめます。

●「コレクションを未来へ」/根津美術館(南・青山)/03-3400-2536
開催中~9月26日

最新の画像もっと見る

コメントを投稿