坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

パウル・クレー展の新しい視点

2010年11月26日 | 展覧会
 20世紀の抽象の扉を開いたカンディンスキーとともにドイツのバウハウスで教鞭をとったパウル・クレー(1879-1940)は、日本でも人気の高い画家の一人ですが、今までの展覧会とはひと味違ったクレー展が来春開催されます。
クレーは1911年本格的な画業をスタートした年から晩年にかけて制作した作品のリストを作り続けたと言います。約9600点もの作品からなるこのリストには、作品タイトルだけでなく、詳細な制作方法が記載されており、「どのようにして作られたか」という制作プロセスに特別に関心を持っていたことを知らせます。そうした記録を収めることで、作品の発展を模索し続けたと言えるでしょう。その制作過程の記録はアトリエ写真によって明らかにしています。
生地であるスイス・ベルンのパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心に約170点を展覧し、創造的制作過程にスポットをあてた新たな試みの展覧会に期待がかかります。
・掲載作品 パウル・クレー「E.附近の風景(バイエルン)にて」1921年 パウル・クレー・センター(ベルン)

◆「パウル・クレー展ーおわらないアトリエ」/11年3月12日~5月15日/京都国立近代美術館他

















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