坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

榎忠 展 美術館を野生化する

2011年09月18日 | 展覧会
戦後の前衛グループ〈具体〉は、路上でのパフォーマンスやハプニングにより、既成の美術の枠組みに疑問符を投げかけました。関西から発したパワーの爆発力がありました。
関西は前衛的土壌のある土地でそれは現在でも発信地として多くのアーティストが活躍しています。
榎忠さん(1944年~)は、神戸に拠点を置いて創作活動を行ってきました。1960年代半ばから創作の世界に入り、70年代では集団での活動を経た後、型破りなパフォーマンスを繰り広げました。サイケデリックな髪型や女装など周囲をあっと言わせたかと思うと、その一方で、銃や大砲など現代社会に刺激的な題材を扱ったり、今日大量に生み出される金属の廃材に新しい生命を吹き込んだりと創作の場を広げてきました。
近年は、大阪キリンプラザでの個展(2006年)や豊田市美術展での二人展(2007年)などで注目されました。
・掲載作品は、「RPM-1200」シリーズ。2006年 
工作機械の部品を加工して積み重ね、別の次元へと展開させています。榎さんの鉄との関わりは、パーツを工場や廃棄物などから選ぶことから始まります。超巨大なマシンや機関車、戦車なども登場する本展は、回顧展も兼ねた榎作品の全体像を示す内容となっています。

◆榎忠展 美術館を野生化する/10月12日~11月27日/兵庫県立美術館(神戸市中央区)


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