坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

フランシス・ベーコン展

2012年08月22日 | 展覧会
学生時代に好きな画家の一人がフランシス・ベーコン(1909-1992)でした。人間を極端にデフォルメし肉の塊のように押し出した作品は絵を描くことはさらけ出すこと、非常なまでの醜さと向き合うことなど、奥深さを感じさせました。
ベーコンが制作活動を始めたのが、ちょうど第二次世界大戦の真っ只中で、現実の人間が苦痛にさらされている状態を見据えるというリアリズムの視点に立ちます。
美術史の古典などから参照した作品や、映画「戦艦ポチョムキン」の中で、銃で額を打たれて叫ぶ老女の姿から参照した作品も描きました。
ベーコンが絵画で一番重視したのは、絵が〈神経組織を攻撃する〉機能を果たすということだと言います。楽しいとか哀しいという感情に分化する前の、いわゆる情動が出る根本を刺激したいと考えました。
本展は、ベーコン没後の初の本格的な回顧展となります。
掲載画像は、出品作品とは異なる参考作品です。
来年3月から開催される展覧会では、30点を超える作品が集結します。現代社会におけるベーコン作品の意義を考える大切な機会となりそうです。

◆フランシス・ベーコン展/2013年3月8日~5月26日/東京国立近代美術館(竹橋)

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