坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

館蔵品展 日本の美術運動

2010年06月16日 | 展覧会
大正から昭和初期にかけて、日本にはヨーロッパからの美術運動、ダダ、未来派、フォーヴィスム、キュビスムなどが押し寄せ、新たな潮流を生み出しました。ヨーロッパでの時系列的な美術運動の勃興とは関係なく、出版物などを介して紹介され、印刷状態もあまり良くない状態でした。渡欧して学ぶ画家も限られていました。たとえば佐伯祐三らはヴラマンクと接見し、正統派すぎるという叱責を浴びたことは有名な話で、フォーヴ(野獣派)と言っても、日本人画家にとっては思想と技術の両面を取得するには時間が必要でした。
日本フォーヴの鬼才、里見勝蔵は独立美術協会を立ち上げ、新潮流の旗揚げをしましたが、フォーヴをいかに咀嚼し自己のスタイルを確立していくか、模索し続けた画家でした。
画像の「女二人」は、黄色い色面に柔和な線で裸婦が横たわっています。赤がビビッドにアクセントをつくり、マチス風でもあり、構図的にはシャガールを思わせ、里見作品の中でも力強さというより、色彩と線が融合した優品だと思います。

●「館蔵品展 日本の美術運動」
  板橋区立美術館(東京)
  会期 開催中~6月27日
  大正から昭和初期に活躍した洋画家作品70点で構成

  ・講演会
   「ポップ・ハプニング 60,70年代疾走する反芸術」
    講師 秋山祐徳太子氏
    6月20日 午後2時から 先着100名

    


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