坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

メトロポリタン美術館展 ②

2012年10月13日 | 展覧会
自然をテーマに4000年を130点ほどの作品で横断する美の旅は、文化人類的な視点が盛り込まれ、18世紀中頃の春をイメージした少女が描かれた刺繍画などもあり、今から思うとステッチなどは稚拙さがあるのですが、牧歌的な和みを感じました。
ポール・ゴーガン「水浴するタヒチの女たち」1892年。ゴーガンが自己の絵画スタイルをさらに深めた地、タヒチは、緑豊かな生の楽園と映り、色彩豊かな装飾感を盛り込んでいきます。ゴーガンの平たんな色面など統合主義の一端が見られる作品です。



ジャン=フランソワ・ミレー「麦穂の山・秋」1874年。理論的なことを抜きにして、三つの麦穂の山を構図の軸として、広大な大地に惹きつけられる繊細な色合いが美しい作品です。



「猫の小像」エジプト プトレマイオス朝時代、紀元前332-前30年頃。
この凛として優美な猫の像は、もともとは神格化された猫のミイラを入れる容器だったそうです。飼い猫の習慣もエジプト中王国時代から始まります。

◆メトロポリタン美術館展/開催中~13年1月4日/東京都美術館

☆来年もバロックが輝きます。
 17世紀アントワープで活躍したルーベンスの展覧会が大規模に開催!
 13年3月19日~4月21日/Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷)