坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

舟越桂 永遠をみる人

2012年08月17日 | 展覧会
彫刻家の舟越桂さん(1951年~)の大規模な個展が過日、高知県立美術館で好評開催されましたが、この9月から愛知県小牧市のメナード美術館で開館25周年を記念して特別展が開催されます。
舟越さんは、80年代から「妻の肖像」シリーズで楠の半身像で大理石の眼をもった中性的な雰囲気のある彫刻で新たな肖像の分野を切り開きました。
美術的には、大がかりなインスタレーション作品が多く制作された背景があり、その中にあって静謐なプリミティヴな詩情を感じさせる作品は、平穏な時の流れを封じ込めているような趣がありました。
2004年から「スフィンクス」シリーズが始まります。ギリシャ神話のスフィンクスをテーマに両性具有を思わせる人物像へと進展していきます。静的なイメージからどこかイレギュラーな不思議さをまとう彫像は、刻々と変化していく現代社会に対する戦闘モードのようでもあります。
掲載作品は、「森に浮くスフィンクス」2006年。
本展は、初期から最新作まで22点の彫刻作品を中心に、水彩やデッサンなどの絵画作品なども併せて展覧されます。

◆舟越桂展/9月15日~11月25日/メナード美術館(小牧市)