坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

現代の空気感 仙石裕美

2012年05月05日 | 展覧会
仙石裕美さん(1982年~)は、人体表現に独特の感性を宿す画家さんです。青い水面に漂うように浮かぶ群像などには、固有名詞ではなく、現代人がその行く先の分からない出口を模索するような空気感を映し出すような現代性を感じさせます。
まだ若い画家さんですので、それほど理屈っぽくなく屈託のなさも感じます。そこに具象表現ではなくてはならない表現の意図が見えてきます。
掲載の「over the rainbow」は、青空を背景にどこかあてもなく飛び込んでいくような不安定さも宿します。人は誰も一瞬をこのような状況を生きているのかも知れません。
仙石さんの個展が6月に銀座で開催されます。どのような展開が示されるか楽しみです。

◆仙石裕美展/6月12日~23日/NICHE GALLERY(銀座3丁目)